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「竹と樹のマンガ文化論」(竹宮 惠子・内田 樹) [サブカルチャー]

50歳で京都精華大学マンガ学科教授、64歳で同大学学長に就任した竹宮恵子と、ともに1950年生まれで今年4月から同大学客員教授になる内田樹との、日本の漫画文化に関する突っ込んだ対談。

竹と樹のマンガ文化論 (小学館新書)

竹と樹のマンガ文化論 (小学館新書)

  • 作者: 竹宮 惠子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/12/01
  • メディア: 単行本


 戦後日本マンガの発展の途をたどり、若い才能がその上の世代がごっそり戦死して機会を得て参集した、その業界のキモはオープンソース(互いに真似し合い、「発明」を自由に使うことを許容し切磋琢磨しあう)によって発展してきたことにあると喝破している。

 そういう日本マンガの優れた特質もさることながら、大学でのマンガ制作教育の取り組み方の詳細が詳しく展開されており、この竹宮氏、優れた教育者であることがよく分かった。教師団(=師匠)として真摯に学生と向き合い、技術より重要な心構えを叩き込む。マネジメント的な能力も伺え、この人が学長にまでなった理由がよくわかった。
(実は清華大学のこの学科の存在は知っていたが、なんか浮ついた軽薄でチャラチャラした不真面目な印象を勝手に持っていたのだが、大間違いであった。並みの大学には無い、徒弟的修練の場がある、と見た)

 竹宮氏の「風と木の詩」という極めて思い入れのある作品を世に問うために、過激さ故に掲載困難だった少女誌にあえて載せる手順として、まずヒット作(「ファラオの墓」)を出して自分の発言権を確保するという経路を採った、という話はとても面白い。

 「ヴォイス」(表現するに当たっての、自分の核となるオリジナルな文体)を持つことの重要性の話も説得力がある。

 萩尾望都、山岸凉子らと行ったヨーロッパ旅行とその作品への影響の話、シナリオの重要性、原画保存、スピンオフ作品のこと、日本人のマンガ脳(表音テキストと表意画像を同時並行処理・読解する能力)、電子書籍化されたマンガの欠点(見開きで概観できない)、「ワンピース」への言及……etc。

 マンガ業界の裏話に満ちていて、とても面白かった。

タグ:漫画
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