「Gene Mapper -full build」(藤井 太洋) [SF]
2012年7月、Kindleに個人出版してAmazonの小説・文芸部門で第一位になったというので耳目を集めた作品を、大幅に改編して構成・文体を変え、新たな登場人物を加えたりして全面的に書き下ろし、ハヤカワ文庫から「紙の」本で(Kindle版もあるが)出たSFである。「2013年版SFが読みたい」では国内篇堂々の第4位。
拡張現実の普及した近未来、遺伝子工学の進歩により「蒸留作物」という農作物が食料の主役となった時代。ジーンマッパー(遺伝子デザイナー)の林田が、自分の設計した稲が遺伝子崩壊(作物化けが発生した)との報を受け調査に乗り出すところから始まる。
穀物メジャーの枠組みの中で、またインターネットがいったん崩壊(検索サイトが暴走してネット上のすべてのコンピュータを乗っ取ってしまったためらしいw)した後に再構築されたトゥルーネットを駆使しての探索、それに協力する仲間。その個性的な各キャラが立っている。
あっと驚く展開にページを繰るのが高速化する。
リーダビリティーが高く、ストーリーはテクニカルな技術考証を含みつつスリリングにテンポよく展開する。ベトナムやカンボジアの農場へと舞台が目まぐるしく変わる。その描写力もなかなかのもので、処女作としては驚くほど完成度が高い。オリジナルの電子書籍版は読んでいないのだが、紙で出版するにあたっては相当練られているのではないか?と思われる。出版社の編集者の介在がどれくらいあったかは不明だが、相当な功績があったのではないか?と思えてならない。
ちょっと連想したのは「ジェノサイド」であり、雰囲気や学術的な考証の緻密さや、熱帯地域での冒険などが似ていると思った。
Gene Mapper -full build- (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 藤井 太洋
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/04/30
- メディア: 文庫
拡張現実の普及した近未来、遺伝子工学の進歩により「蒸留作物」という農作物が食料の主役となった時代。ジーンマッパー(遺伝子デザイナー)の林田が、自分の設計した稲が遺伝子崩壊(作物化けが発生した)との報を受け調査に乗り出すところから始まる。
穀物メジャーの枠組みの中で、またインターネットがいったん崩壊(検索サイトが暴走してネット上のすべてのコンピュータを乗っ取ってしまったためらしいw)した後に再構築されたトゥルーネットを駆使しての探索、それに協力する仲間。その個性的な各キャラが立っている。
あっと驚く展開にページを繰るのが高速化する。
リーダビリティーが高く、ストーリーはテクニカルな技術考証を含みつつスリリングにテンポよく展開する。ベトナムやカンボジアの農場へと舞台が目まぐるしく変わる。その描写力もなかなかのもので、処女作としては驚くほど完成度が高い。オリジナルの電子書籍版は読んでいないのだが、紙で出版するにあたっては相当練られているのではないか?と思われる。出版社の編集者の介在がどれくらいあったかは不明だが、相当な功績があったのではないか?と思えてならない。
ちょっと連想したのは「ジェノサイド」であり、雰囲気や学術的な考証の緻密さや、熱帯地域での冒険などが似ていると思った。
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