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東北旅行・その2 [身辺雑記]

〈承前〉
仙台から仲間と別れて単身北上したのは「大人の休日倶楽部パス」(¥17,000)の有効期間4日間を活用するためだが、とは言っても以前から特に行きたいと思っていた場所というのが無かった。出不精ゆえにそういう関心がなかったからだろう。

 「三内丸山古墳」というのも浮かんだのだが、ちょっと遠すぎるし、大体それほど興味が無いのでやめて、では(困ったときの)世界遺産はどうだっけ?で検索したら、東北にあるのは「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」(中尊寺など)と白神山地しかない。白神山地も遠いし、漠然と山に行ってもなァ、ということで、源平合戦(というより大河ドラマか)で親しみのある、有名なのに行ったことのない中尊寺へ行こうと思い立った。A氏は「あそこはつまらないよ」と言ったので、若干モチベーションが下がってしまったんだども。
 「あらざらむこの世のほかの思ひ出に、一度くらいは観ておこうかな」
的な発想もある。イメージ的には盛岡の近くかと思っていたら、意外と仙台に近いではないか。これじゃパスのメリットがあまりないなぁとも思いつつ…。

 そのことをメーリングリストに書いたら、A氏から「宮澤賢治=花巻、柳田國男=遠野」というワードを提示された。おおっ、それは忘れてた、ぜひ行こう、と思ったのは賢治の方。「遠野物語」はじめ柳田は殆ど読んでいないのだった。あそこに行けば座敷わらしに会えるというわけでもないし(フィギュアくらいはあるのかも、だが)。対して宮沢賢治は…と言っても「銀河鉄道」とか「注文の多い料理店」くらいしか読んでない、いや原作をきちんと読んですらいない不熱心な読者なのだが、その存在感は圧倒的だ。「雨ニモマケズ」は暗唱できるし。その宇宙(とも表現すべきスケールだ)・世界観は途方も無い広がりと豊穣さを含んでいると思われるのだった。「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という言葉の衝撃度は凄いし…。青空文庫に275作品もアップされているし、これから読んでみようと思う。

 で、花巻、平泉の順にそれぞれ1日を費やそうと思い、12/1(日)の夜、友人たちと別れてからまず新幹線で一気に盛岡まで行った。盛岡は宿を取りやすいだろうと、泊まるためだけに行ったようなものである。S氏が金曜の夜に泊まったというホテルに8時過ぎに飛び込みで行ったら、彼よりもずっと高い料金を取られたorz。S氏、Twitterで曰く「インターネット予約なら安いのに」
 教訓:旅音痴は高くつく。

 S氏から盛岡はめちゃ寒いと聞いていたのだが、その日は風も無く暖かかった。拍子抜け。しかし、盛岡市内って見どころが無い。名物もわんこ蕎麦くらいしか無いのかな?と。よく調べてないだけかもしれないが。と言うわけで、ほんとに泊まるだけで、翌朝は市内観光も何もせず、すぐに新幹線に乗り、新花巻に向かう。それにしても、鈍行新幹線(という言い方は無いか?)は1時間に一本しか無いというのには驚いた。どこの僻地かと。

 新幹線ホームにて、アナウンス。「全席指定席ですが、空いてる席に自由にお座り下さい。指定席券を持った方が来たら譲って他の席にお移り下さい」だってさ。いみがわからないよ、いや、わかるけど。確かに車内はガラガラだった。「基本自由席だが、指定席券を持った人が優先される席」という訳か。
 たったひと駅間なので僅か10分の新幹線搭乗。

 新花巻で釜石線に乗り換えて花巻に行くイメージでいたのだが、マップを見ると、なんと目的地の宮澤賢治記念館は、花巻駅ではなく新花巻の方がずっと近く、歩いて行ける距離だと今頃知った。全く行きあたりばったりである。

 新花巻からiPhoneのマップを見つつ約30分歩いて、到着。最後の急坂を登って来たら汗だくになった。途中で記念館の職員らしき人が道の落ち葉を掃き掃除していて、「心臓破りの坂ですけど、あと少しですよ」と声をかけてくれた。
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入り口
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 館内撮影禁止なので何も撮れなかったのは残念。賢治の多面的な世界、生い立ち、家族、学業、農業、鉱物、天文、法華経、創作過程などの多彩な資料が整然と整理陳列され見入ってしまった。ただの文献や草稿だけでなく、写真や絵や動画、鉱物見本、プラネタリウム風ドーム、など見(魅)せる工夫が効果的に凝らされている。2時間ほどかけて全部見た。

 参観者用の感想ノートがあったので、自分が書き込んだ中から引用。
「東北が生んだ文化人には太宰治とか石ノ森章太郎とか居ますが、やはり賢治は別格、超弩級の偉大な魂の持ち主でちょっと常人には近寄りがたいところのある、多面的な世界の奥深さは大変なものですね」

 館内に売店があり、賢治関連グッズを売っていた。買う気もなく眺めていたら、こんな本があった。
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 厚くてずしりと重い。定価3800円が1500円で売っていた。発行元の直売とはいえ安すぎる。ゾッキ本か? 2007年発行。パラパラ見たら、記念館周辺のエピソードも多いが、賢治論もいくつか入ってそうなので、安いこともあり、買った。

 記念館を出ると、あの山猫軒があった。まさか実在していたとは!
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 腹も減ったし、食事にすることにした。これがメニュー。意外にも客に対する要求は無い。
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 入場券は他にも2館に入れるの(800円)を買ったので、近くにあった花巻市博物館にも寄った。
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縄文時代出土品とか、近世の武具とか、古代から近代までの歴史が概観できる。しかし閑散というか、客は私ただ一人だった。

 新花巻まで同じ道を戻り、新幹線で一関に向かう。勿論パスなのでロハである。しかし、岩手県って広いねぇ。
 4時頃付いて、チェックインにはまだ早いので「♪鄙びた町の昼さがーり」市内を散歩したのだが、小さな町で何もない。食べ物屋もない。歩き疲れるくらい探しまわってしまった。ちょっとしょぼくれた店に入って焼きそばを食べた。

 この町でまた一泊する。あらかじめ電話で予約しておいた東急イン。ここも結構高い。盛岡と違って、混んでいた。
 部屋でTV観る。「趣味Do楽 落語でブッダ ー新ー<全8回> 第1回「柳家喬太郎“仏馬”」を。明日はお寺へ行くので、丁度いいのではないか?柳家喬太郎の高座は、落語好きの友人に誘われて何回か観たことがあるんでげすよ。
 さらにNHKの「Web24」で就活に親が出しゃばる問題についてTwitterで「親どころか、そのうち祖父母の出番かも?」とハッシュタグ#nhk24付きで投稿したら採用され、画面に私のツイートが一瞬表示されたw。

 ◆

12/3(火)
 モーニングサービスを食べてたら、7:45一関発の東北本線下りに乗り遅れた。次の電車はなんと9:00まで無い! なんちゅー少なさだ! この時間に在来線がこんなに無いなんて、生活出来んではないか!と思ってそうツイートしたら、A氏が「地方では車なしでは行きていけないのだよ…民営化による経営効率化によって見捨てられたから、自力でカバーするしかなかったってこと」とリプライあり。
 こんな風にツイートしながら旅行すると、一人だけの孤独ではなく、友人がリアルタイムで付き添って適宜会話しながら歩いてるみたいな不思議な気分になりますなぁ。
 
 ここからはツイートの再録擬似リアルタイムで行程を再現する。
 
>例の下痢止めは飲んでいたが、下り電車に乗って発車待ってたら急に催して来た(下りだけに)。慌てて下車して階段駆け上がり、トイレに走って来た。戻ったらあと1分で発車。

>平泉駅から中尊寺目指して歩行なう。

(平泉駅に着き、中尊寺目指して歩き出す。沿道のめぼしいものの写真撮りながらツイートしつつ)

>弁慶の墓。石碑みたい。
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>弁慶堂。
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>地蔵院。
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>随分急な坂だなと思いながら参道を登って来たら、いつのまにかこんな高みに!
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>薬師堂。
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>中尊寺。
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>本堂。
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>御本尊。
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>不動堂。
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>薬師堂。
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>五月雨の降り残してや光堂。
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>もっとこうサーン然と光輝いてるかと思ってた。金閣寺とまでは行かずとも。光ってないのは当然で、あれはただの覆い堂であって、中には入れ子構造と言うかマトリョーシカ的と言うか、小さな金ピカの見事なお堂があったとは!全て金箔張り。すごい。写真撮影不可だった。ケチ!

(そばに「讃衡蔵」という資料館みたいなのがあって、ここの展示は充実していた。光堂に贅沢に施された螺鈿などの装飾の詳しい説明があり、とても良くわかった)

>これは!(駅のコンビニ兼土産物屋にて発見)
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(そう言えばネットで香川県での「うどんの恋人」という同デザインのパッケージも見たことがあった。同じメーカーが何十種類も作ってるに違いない。w)

>昼飯にワンコそば食べようかと思ったのだが、二千円以上するのでやめて、普通のそば食った。

>一関へ向かう電車なう。

>一関発13:48の「やまびこ58号」に乗った。一路東京へ。
さようなら、我が心のふるさと東北。

>7時ころ無事帰宅しました。

というわけで、天気にも恵まれたし、久々に充実した旅行でありました。
(了)
タグ:写真 Twitter
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