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「世界でもっとも強力な9のアルゴリズム」(ジョン・マコーミック) [サイエンス]

随分ブログ更新の間が空いてしまった。こう音沙汰なしだと、「具合が悪くなっているのでは?」「もしや死んだのか?」と思われてしまう恐れもごくごく一部にありそう(Twitterで私をフォローしてる人にはそんなことはないが)なので、久々に更新。本を読んでいないわけじゃないけれど、記事を書く気になれない本が多かったというのもある。

 さて、今や「ふつ〜」に身近にありふれた道具となっているコンピュータ。しかし、世間の多くの人たちは全くのブラックボックスとして使っているだろう。基本的な仕組み、CPUやメモリ、外部記憶に入出力デバイス、二進法のことなど全く(あるいは殆ど)知らなくて使っている人が大半なのではないだろうか?
 私はパソコン黎明期の8bit時代(PC-8001)から使っているのでそんなことはないが、今の高度なプログラミングに関しては全くの素人と言っていいくらい無知(BASIC丸出し、という言葉がかつてあった)であり、インターネットを毎日使ってその恩恵に浴している割に、その内部の〈からくり〉については全くのブラックボックスとして接しており、そういう意味では大多数のユーザーと同じレベルだ。
 そこで、このちょっと大げさなタイトルのこの本を知って図書館で借りて読んだ。

世界でもっとも強力な9のアルゴリズム

世界でもっとも強力な9のアルゴリズム

  • 作者: ジョン・マコーミック
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2012/07/19
  • メディア: 単行本



 クイックソートのような基本的で重要なアルゴリズムではなく、今日のインターネット全盛の時代にその屋台骨を支える技術、エンドユーザーが日常的にお世話になっているシステムを裏で支えるソフトウェア群、つまり、
1.検索エンジンのインデクシング
2.ページランク
3.公開鍵暗号
4.誤り訂正符号
5.パターン認識
6.データ圧縮
7.データベース
8.デジタル署名
9.計算不能性

等々についてたとえ話を駆使して図版も交え、数学の苦手な人にもわかりやすく説明している(数式は出てこない)。「公開鍵暗号」で絵具の混ぜあわせを用いた説明は特に面白かった。
 訳文もこなれており(ちなみに訳者はネット上での知り合い)、本来難しい内容のはずの本だが、スラスラ読めた。

 ブラックボックスを扱うのは基本的に精神衛生に良くないと思っている。結果の出力をなんでそうなるのかわからず唯々諾々と受け入れるしかないのに対し、メカニズムがわかっていれば安心して納得が行くだろうし、あまりにヘンな結果だと入力ミスが原因と察することもできる。

 ブラックでも操作法さえ知っていれば特に支障なく使えるとは言え、トラブルのあった時などの対処に中身を知っているかどうかで雲泥の違いがある。裏で何をやっているかがわかっていれば、例えば異様に長時間待たされた時など、訳もわからずイライラするか、内情/処理の過程を察して、しばらくコーヒーでも飲みながら待ってみる、といった余裕のある対応ができるかに分かれるわけだ。
 そういう意味でも、この本は現在の全てのコンピュータユーザーが読むべき本ではなかろうか?
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