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「言語都市」(チャイナ・ミエヴィル) [SF]

「都市と都市」の作者チャイナ・ミエヴィルの作品。題名が示すとおり、〈言語SF〉である。
 なんとも読みにくかった。途中何度も放り出しそうになった。
原文がそうなのか訳が悪いのかわからないが、冗長過ぎる長さは原文のせい、個々の表現の解りにくさは訳のせいだろう。描かれた光景や人間関係や会話のニュアンスがするすると頭に入ってこない。これはダメだ。

言語都市 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)

言語都市 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)

  • 作者: チャイナ・ミエヴィル
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/02/26
  • メディア: 単行本


 元々異世界というか人類とは全く異なる種の異星人を扱っている設定なので、その異様さがわかりにくいところへ持ってきて、その設定の説明が小出しにされ、なかなか物語に入っていけない。さらにそのストーリー自体がややこしさ極まる。
 展開ももたついており、余計なディテールが多すぎて、焦れったい。それでも我慢して(何のために?)読み続けてやっと、最後の数十ページでクライマックス大団円のスリルと高揚感が得られた。
 ことほど左様に、万人向けとは言い難い。

 テーマは異星人とのコミュニケーション(の困難さ)である。
 二つの口を持ち、同時に二音を発する言葉を持つ惑星アリエカ人、〈嘘〉という概念が無く、事実のみしか語れない。通訳(大使という)の地球人は二人ペア(多くはクローン)で同時に喋る。その大使によって嘘を聞かされると、混乱し麻薬を射たれたように酔ってしまう。…というなかなかに凝った設定。
 そこに新たに着任した大使が現地人に大混乱をもたらし、破滅の危機が訪れる。なんとか打開しようと奮闘する女性が主人公。

 異星の異様な環境とバイオテクノロジー、政治的かけひきの描写がちょっと過剰なほどに延々と続く。これが冗漫な理由だ。もっとスリムアップすればこの半分か三分の一の長さで書けただろう。えらく時間を消費させられてしまったが、最後まで根気よく読んで多少は救われた。

 ただ、結末での意外とあっさりとした顛末には若干不満を持った。チョムスキー的な普遍性が宇宙人にも通用したりするのか? むしろレムの描く(「ソラリス」や「砂漠の惑星」の)ような絶対に超えられない障壁の方がリアルな感じがする。
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