SSブログ

初めての落語 [アート]

 今まで長く生きてきて、一度も生の落語を観たことがない、というのも珍しいのかも知れない。そんな私の病気のことを気遣って、笑うのは健康にいいからと勧めてくれた落語好きの友人(大学のクラスメイト)が居て、その人の案内で先日人生初の生の落語を観ることになった。

 前売りチケットまで手配してくれたのが、9月26日の渋谷区伝承ホールでの三遊亭白鳥の独演会だったのだが、彼女はその前々日の別の舞台、恵比寿ガーデンプレイス内のYEBIS亭(柳家喬太郎、桂吉坊、風間杜夫)に行くつもりだったが風邪で行けなくなったのでチケットが余ったと言って譲ってくれたのも観に行く事になり、なんと間に1日挟んで連続して落語を観ることとは相成った。

 9月24日ガーデンルームにて19時開演。彼女の旦那さんと他に2人の落語好き仲間の席の間に座って観た。風間杜夫が落語をやるというのは知らなかった。結構堂に入っている。しかし、今更「スチュワーデス物語」をネタにするのはいかがなものか?(落語本体ではなく、前座でのトークでではあったが。)

 柳家喬太郎の演し物は「宮戸川」という演目で、これは凄かった。人情話かと思っていたら、殺人事件に急展開!その語り口は鬼気迫る迫力があった。(でも落語に《夢オチ》は許されるのかなぁ?という疑問が湧いたのだけれど。)とにかく落語の(滑稽な)イメージとはかけ離れた内容だったのでかなりの衝撃を受けた。

 2回目の26日の方は渋谷なので、せっかく行くなら、と別の映画好きの友人が「今年の一押しだ」と勧めてくれた「鍵泥棒のメソッド」を昼間観ることにして、歯医者に行った後早めに出かけた。(映画については別の記事で)

 駅から南西方向に歩いて区立の渋谷区文化総合センター《大和田・伝承ホール》へ。変わった名前のホールだが、何の伝承なのかわからない。由来の説明がどこかにあったのかもしれないが、目につかなかった。やがて風邪を押して参加の友人と旦那さん、それに一昨日会った落語仲間の同じ顔ぶれが揃った。

 道楽亭出張寄席「三遊亭白鳥渡り鳥落語会」という催し。
>白鳥師が広い交友範囲のなかから毎回お一人をお招きしての独演会。白鳥師が渡り鳥となってお仲間の元へ渡っていきます。第1回目のゲストは女流講談師で、昨年『女子芸人』で第6回新潮エンターティンメント大賞受賞の神田茜さん。

とのことで、二人の同業(小説家)としての「売れない悩み」の開陳し合いのトークなども面白かった。他に妹弟子の粋歌という女流落語家も「おじいせん」という現代女性の生態を描いた創作落語を演じて、こんなに出てきても「独演会?」という気もしたが、多彩にいろいろ聞けるのは嬉しい。
 神田茜も、講談ではなくあくまでも演じるのは落語で、「初恋エンマ」という滑稽な創作もの。どっちの女性演者のも、女性の逞しさというかえげつなさというか、を生き生きと描き出していた。

 で、三遊亭白鳥であるが、「ギンギラ落語ボーイ」というこれまた創作のしかも初のお披露目であるという演し物。友人は先日の柳屋喬太郎とは全く毛色の違う芸風(ファンタジーなどのパロディ要素を盛り込んだりぶっ飛んだ設定が多い)だ、と予告していたが、今回のはそれほどではない。にしても、落語家修行の話でいわばメタ落語であり、入門者が目覚しい成長熟達を遂げるさまを、『饅頭怖い』を劇中劇ならぬ落語中落語で演じ、しかも芸の上手さを饅頭のいろんなバリエーションを食うさまを見事に演じ分ける、という展開に持っていくわけだが、そういう構成自体、本人の芸の披露になっているわけで、相当自信がないと演じられない設定である。で、ほぼ成功していると思えた。つまり、本人が上手い、のだと言えよう。

 というわけで、初の落語体験であった。なかなか面白かった。前売り三千円のチケットはかなり財布にこたえるので、今後頻繁に聞きに行く事はかなわないが…。
 はねた後、仲間で連れ立って、飲み屋に入って、2時間ほど落語の話を中心に歓談。趣味の合う人同士の気楽な会話は楽しい。皆落語に関しては年季の入った聴き手なので、話になかなかついて行けないが、聞いてるだけでも楽しく過ごせた。ありがとうございました。
 
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:芸能

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。