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「泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部」(酒見 賢一) [小説]

 随分待たされたこの第参部、図書館に早めに予約しておいたので、まだ誰も読んでいない新本状態で借りることができた。滅多にないことでなんとなく嬉しい。ちなみに、第壱部、第弐部についてはこちら

泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部

泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部

  • 作者: 酒見 賢一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/07/25
  • メディア: 単行本



 この巻に至って、いよいよ「赤壁の戦い」に入る。おりしもNHKBSプレミアムで「レッドクリフ」が放映されたが、これは単なる偶然であり、断じてシンクロニシ…とかではないのは言うまでもない。

 で、この三巻であるが、なんかそれまでの調子がイマイチ無くて、冒頭の長めの口上を除き殆ど普通の小説になってしまっており、ちょっと期待はずれ。会話部分が広島ヤクザ弁になっているところはユニークではあろうが。
 孔明のキャラも今までの「変態ぶり」が引っ込んで、従来イメージの冷静沈着、神のごとき洞察力の発揮、と言わば「ありきたり」になっていて、珍妙な面白さは激減している。舌先三寸の見事さ描写はさすがだが。

 ところで、周瑜が孔明に最初から一貫して殺意を持ち続ける、というのは新解釈なんだろうか?「レッドクリフ」では友情が描かれていたと思うが。(放映は録画したが見直していない)
 映画のほうで大活躍した孫権の妹は、本作の方では(男勝りの武闘派というのは同じだが)なんと劉備と結婚するのだが、これは史実なんだろうか?

 どうも「サンゴクシシャン」(←「サンゴクシャン」でいいのではないか?と思う)ではない私には、この作品の中での、通説というかメジャーな解釈との微妙なあるいは大胆な〈外し〉の妙がわからないのが、ちょっともどかしい。この巻に至って想定読者のレベルを上げられてしまったのではないか?的な印象がある。それとも〈突っ込みパワー〉が落ちたのか?
 一応定説っぽい展開を踏まえた記述のあとで、「どうもこういうことは無かったっぽい」みたいなことも書いてあったりするのだが、この辺は〈膝かっくん〉を食らったようで、それなりの面白みはあるのだけれど。
 というわけで、クライマックスも終わったことだし、次巻への期待が高まるという展開には至らず。もちろん出たら読むけど。
タグ:歴史小説
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