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「連環宇宙」(ロバート・チャールズ・ウィルスン) [SF]

「時間封鎖」「無限記憶」に続く三部作の完結編。

連環宇宙 (創元SF文庫)

連環宇宙 (創元SF文庫)

  • 作者: ロバート・チャールズ・ウィルスン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/05/11
  • メディア: 文庫


2作目を読んでから丸3年も経っている(随分待たせてくれたもんだ)ので、記憶が薄れていたのだが、本巻の解説で大野万紀氏がおさらいをやってくれているので助かった。














「連環宇宙」というのは、例の〈仮定体〉が作ったアーチで結ばれた地球人が居住する12個の惑星群のこと。(原題の"vortex"というのは「渦」という意味しかないようだが)
 前作で暫定アーチに呑まれたタークが1万年後に復活して、ヴォックスという移動都市国家(大脳皮質系民主主義国家群と対立している大脳辺縁系民主国家。コリュパイオスというコンピュータネットワークに全国民が接続され、情動の集合で運営されており、〈仮定体〉を神と崇めている)に囚われる…。
 その様子がスピン解除直後の時代、つまり1万年前に住む一人の少年が自動筆記する文書で語られる、という謎の展開で交互に進行する。凝った構成であるが、それなりの効果はある。
 色々と事件が続発していくのだが、その辺は省略。

 圧巻は最後のアイザック(2巻に出てきた〈仮定体〉と交感する能力のある少年)の独白で明かされる〈仮定体〉の正体と、それに続く何億光年何億年という壮大な旅の描写だ。クラーク的なSOWが溢れている。前2作で一体どうやって収拾つけるのだ?と疑問だったものが、見事に回収され展開されている。もっとも、完成するのにはこの作者相当難渋したようではある。

 ともあれ、長年の喉のつかえが取れたような爽快感をもたらしてくれた。
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