「真夜中の庭――物語にひそむ建築」(植田 実) [ノンフィクション]
古今の数々の名作(特に児童文学)の中に描かれる、家屋、部屋、庭などに焦点を当て、それが物語世界の構築にどのような位置を占め、登場人物の心にどう作用するか、その結果たち現れてくる豊穣にして有機的、静謐にしてダイナミックな世界の成り立ちについて、細やかにそして縦横に論じる、その筆致が見事と言うしかない。
著者は建築誌の編集者というので建築家かと思ったら、早稲田の仏文科卒だった。76歳。なるほど夥しい文学作品を読み込んできた年輪の片鱗が文章のそこかしこに伺える。なんとも深い読み手である、という印象だ。そこに建築に関わった経験からもたらされるユニークな視点での分析が冴える。そして、それを巧みに表現する筆力。素晴らしい。
取り上げられた作品は有名なものばかりだが、読んでない作品が結構ある。自分の読書経験の不足を痛感するとともに、読書欲をさらに強める点で非常に良く出来た読書案内と言える。
著者は建築誌の編集者というので建築家かと思ったら、早稲田の仏文科卒だった。76歳。なるほど夥しい文学作品を読み込んできた年輪の片鱗が文章のそこかしこに伺える。なんとも深い読み手である、という印象だ。そこに建築に関わった経験からもたらされるユニークな視点での分析が冴える。そして、それを巧みに表現する筆力。素晴らしい。
取り上げられた作品は有名なものばかりだが、読んでない作品が結構ある。自分の読書経験の不足を痛感するとともに、読書欲をさらに強める点で非常に良く出来た読書案内と言える。
コメント 0