「ボクは坊さん。」(白川 密成) [ノンフィクション]
「ほぼ日」に連載されたものをまとめた本らしい。あそこは読んでいないので存在を知らなかった。知ったのはBS2の「週刊ブックレビュー」で取り上げられたからで、興味を惹かれて読んでみようと思っていたのを図書館で借りられた。
若くして四国八十八ヶ所の一つの寺の住職になったお坊さんの手記である。坊さんと言っても、音楽やスポーツ大好きな普通の現代の若者なのだった。
テーマは勿論、住職としての仕事のこと、そして仏教そのもののことだ。自分の生い立ちから語り起こして、高野山大学密教学科入学のこと、祖父を継いで住職になったこと、初めて葬儀を仕切ったことなどが語られる。その合間合間に、真剣にそして正直に仏教の教え(密教だけあって空海の言葉が多く引用されている。あと初期の仏典)の一つひとつの言葉を手がかりに反芻吟味して、生と死、葬式仏教、こころ、自己と他者などの問題について、自分の生身の感覚と日常経験とを踏まえて深く考え、自分の未熟さを認識しつつも、「今ここで良いと思うこと、できること」を実践している。とても前向き。
語り口は極めて平明で、分かりやすいし、共感を呼ぶ。現代の日本という険しい環境下において、僧侶であること、仏教に生きるということの困難さも感じつつ、それでも「これが私の生きる道」と覚悟を決めている。若者らしい瑞々しい感性と、真摯でありなおかつ飾らない態度はとても良い。読んでいて何か元気と言うか、しみじみと豊かな落ちついた気分になって来る。
宗教という人類の営為の持つ歴史的蓄積の豊穣さというものに思いを致させる本だと思う。虚空山彼岸寺にしろ、上座仏教にしろ、蝉丸P氏にしろ、インターネット時代を迎えて仏教界に大きなうねりが起こっているようだ。当分目が離せない。
若くして四国八十八ヶ所の一つの寺の住職になったお坊さんの手記である。坊さんと言っても、音楽やスポーツ大好きな普通の現代の若者なのだった。
テーマは勿論、住職としての仕事のこと、そして仏教そのもののことだ。自分の生い立ちから語り起こして、高野山大学密教学科入学のこと、祖父を継いで住職になったこと、初めて葬儀を仕切ったことなどが語られる。その合間合間に、真剣にそして正直に仏教の教え(密教だけあって空海の言葉が多く引用されている。あと初期の仏典)の一つひとつの言葉を手がかりに反芻吟味して、生と死、葬式仏教、こころ、自己と他者などの問題について、自分の生身の感覚と日常経験とを踏まえて深く考え、自分の未熟さを認識しつつも、「今ここで良いと思うこと、できること」を実践している。とても前向き。
語り口は極めて平明で、分かりやすいし、共感を呼ぶ。現代の日本という険しい環境下において、僧侶であること、仏教に生きるということの困難さも感じつつ、それでも「これが私の生きる道」と覚悟を決めている。若者らしい瑞々しい感性と、真摯でありなおかつ飾らない態度はとても良い。読んでいて何か元気と言うか、しみじみと豊かな落ちついた気分になって来る。
宗教という人類の営為の持つ歴史的蓄積の豊穣さというものに思いを致させる本だと思う。虚空山彼岸寺にしろ、上座仏教にしろ、蝉丸P氏にしろ、インターネット時代を迎えて仏教界に大きなうねりが起こっているようだ。当分目が離せない。
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