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名数としての〈数字+月〉という表現 [言葉]

 10月になった。月日が経つのは早いものだ。そこで、不意に浮かんだことを書こう。
 「10月」と聞くとそれなりのイメージが浮かぶ。どの月についてもそうである。単なる数字と「月」が組み合わさったものに過ぎないのに、「1月」と「2月」とではニュアンスの異なる全く別々の単語となる。
 数字だけのものを「無名数」といい、1枚,2羽,3冊,6個,1m,2kg,3℃など、〈助数詞〉または単位の付いたものは「名数」という。
 名数の方が意味がある訳だが、それでも多くはただ量的な違いを表すだけで、意味の違いは基本的に含まれない。文脈によっては(「小さい会場に100人も押し寄せた」なんて場合)意味を持つこともあるが。
 
 日本語の月表現は数字+「月」という平板なものなのに、それぞれ明確なイメージを喚起する。英語では Jan,Feb などと固有名である。(いや、勿論日本語でも昔は睦月、如月、弥生、などと言っていた訳だが。)固有名なら、その月のイメージは間違いなくユニークに明確に存在するだろうが、数字だけでも立派にイメージを持てる。
 ひとつ気になったのは、英語の月表示は最近コンピュータの普及によって数字で表すことが増えて来てるので、英語ネイティブな人はどう受け取っているんだろうね?ということだ。2009/01/25とかいう文字列を見て、"January"と脳内変換しているんだろうか?
 日本人が数字月表現をするようになってから長い年月が経っているので、それぞれの月のイメージが自然に反射的に浮かぶようになっているのだろう。言葉はシンボル(シニフィアン)に過ぎないので、なんの不思議もないと言える。むしろ数字の方が計算が楽なだけ便利、とも言えるし。また、日本は四季の移ろいがはっきりしている気候風土なので、数字に置き換えても数字と自然との対応関係(指標化)がし易いような気もする。
 この逆が東京23区パリ12区の名前だ。日本語/英語とちょうど逆に、パリでは区名を数字で表している。千代田区を 「1区」中央区を「2区」江戸川区を「23区」(こういう順番コードは実際あるのだけれど)と称しているようなものだ。で、容易に想像できると思うのだが、パリでは数字だけで、その地域の明確なイメージ(地理的位置や形、街の佇まいから雰囲気まで)が湧くに違いなかろう。
 東京だって、上のように数字で23区を表現してたら、それなりに馴染んでいただろうな、と思うわけですね。
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