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「赤めだか」(立川 談春) [ノンフィクション]

赤めだか

赤めだか

  • 作者: 立川 談春
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2008/04/11
  • メディア: ハードカバー
今大評判の自伝である。「本の雑誌」2008年上半期ベストワン。amazonのカスタマーレビューでも、殆どの人が満点を付けている。知ったのは「NHKBS週刊ブックレビュー」で、あそこで紹介され絶賛されていたので買って読んだ。


 なるほど無類の面白さだ。落語に疎い私は談春という噺家の名前すら知らなかったのだが、勿論談志は知っている。とは言えそれは三面記事的というかゴシップ的なものに過ぎず、談志の落語もまともに聞いたことは無いのだった。落語協会脱会騒動についてもよく知らなかったし、表層的にえらく過激でちょっと不遜な人じゃないかい、みたいな印象を持っていたのだ。
 そんな私でも引き込まれた。この談春という人、落語家として勿論優れているのだろうが、文章が抜群に上手い。落語家と言うのは言葉を扱うプロなのだから、文章だって上手いのは当然という見方も出来るだろうけれど、やはり少し違うのではないだろうか? 噺す能力と書く能力とは厳密に言えば違うだろう。両方とも持っている落語家というのはあまり居ないんじゃないだろうか?
 この本の内容は、談春の落語家修行の、初期の入門前後から二つ目に昇進する頃までの、いわば「青春記」であり、ビルドゥングスロマンである。そこで繰り広げられる破天荒なトンデモない出来事、言動、泣き笑いの数々は啞然とするばかりである。可笑しくもあり哀しくもあり、涙あり笑いあり、しんみりしたり熱くなったり…そして一本通貫しているのが〈師弟愛〉だ。いいかげんなように見えて、実は深く弟子を思いやる談志という師匠の圧倒的な存在感は凄まじい。まさに圧巻。いい本だ。今年のベストワンと言えるだろう。
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