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「人魚を食べた女」(山崎 洋子) [ファンタジー/ホラー/ミステリ]

人魚を食べた女

人魚を食べた女

  • 作者: 山崎 洋子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/05/28
  • メディア: 単行本
 この作家を読むのは初めてだが、以前、江戸川乱歩賞を受賞した「花園の迷宮」という作品の広告には記憶がある。
 衝動買いした理由は、〈設定の面白さ〉に魅かれてである。と言っても、詳しいことは分からず、腰巻にあったのは、「死ねないのよ。どうしたって死ねないのよ!  怪奇と狂気に彩られた情念の世界…25歳のまま、300年生き続けるという女に、私の人生は絡めとられてしまった」。それだけで十分面白そうではないか?
 元ネタは当然「八百比丘尼」伝説だ。人魚の肉を食べたために800年生きたという、あの。若いまま不老不死の長い人生を送れるというのは一見幸福なように思えるし、一種仙人のような超人的境地のような印象を持っていたのだが、この作品で描かれるのはとんでもなく異様なモンスターである。その理由は、時間の流れと人間社会から取り残される孤独と疎外感の恐怖と苦悩なのだった。それ故の邪悪さ、だと。なるほど、そういう解釈もあり得るか、と感心する部分はあった。と…まぁ、そこまでかなぁ。
 読ませる力はそこそこある。が、ストーリー展開にはかなり無理がある。いわゆる「ご都合主義的展開」なわけだ。それの説明根拠は「人魚の肉によって獲得した魔力」で済んでしまうので、文句の付けようが無いと言えば確かに無いのだ。なんてったってファンタジーなんだから。それにしてもちょっと不自然すぎ、の感は否めない。文章もあまり上手くないので、成功しているとは言い難い。というわけでおすすめできる作品ではない。
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