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〈新常用漢字を常用としない奴〉づくし [言葉]

 どっかのお役所が「常用漢字」を増やすのだそうだ。常用漢字なんて全く興味がないが、今度追加される文字一覧を見ていたら、久々に「〜づくし」の虫が蠢きだした。

 さて、昔の話だが、「僕は」と書くべきところを「撲は」と誤変換してた人が居て、「こんな間違いをする奴は殴打に値する」と思ったことがあった。これが今回のヒントになる。つまり、ある漢字を知らない(常用として使っていない)人は一体どういう奴だ、どういう評価が出来、どう扱うべきか、という切り口である。
〈「撲」を知らない(常用でない)奴は、殴打に値する〉というパターンで「〜づくし」ができるだろう、というわけだ。「言葉ネタ」としては久々に燃えるテーマだ。
 これで漢字を「常用」とその他と区分けすることの馬鹿らしさを浮き彫りにしたい、と。材料は今度新たに「常用」に追加される漢字一覧表だ。(以下171行)


「亀」が常用でない奴は、男じゃねー!
「奈」が常用でない奴は、奈良県人、神奈川県人にあらず。
「藤」が常用でない奴は、知り合いに佐藤、斉藤、加藤、伊藤、内藤、藤田、藤本、藤野…という人が居ない。
「誰」が常用でない奴は、どこのだれだ?
「俺」が常用でない奴は、俺んとこへ来い!俺もそうだが心配すんな。♪
「岡」が常用でない奴は、岡山に足を向けて寝ても可。
「頃」が常用でない奴は、この頃なんかヘンよ。♪
「阪」が常用でない奴は、大阪で生まれた女やないさかい、あきまへんな。
「韓」が常用でない奴は、焼き肉もキムチも食ったことない。
「弥」が常用でない奴は、ルーツが縄文系で弥生系の血が入っていない。
「那」が常用でない奴は、旦那から見放される。
「鹿」が常用でない奴は、シカトしてやれ。
「斬」が常用でない奴は、斬って捨てられて当然。
「虎」が常用でない奴は、中島敦の「山月記」を読んだことがない。
「狙」が常用でない奴は、ゴルゴ13に殺される。
「脇」が常用でない奴は、まさに脇が甘い。
「熊」が常用でない奴は、熊本県人にあらず。また大熊猫ファンにあらず。
「尻」「拭」が常用でない奴は、お尻をきれいに拭けず、常にパンツが汚れる
「旦」が常用でない奴は、一旦出直して来い。
「闇」が常用でない奴は、右も左も真っ暗闇じゃーござんせんか?♪
「籠」が常用でない奴は、小田原提灯も無縁。
「呂」が常用でない奴は、風呂に入らない。寄るな!
「頬」が常用でない奴は、頬ずりした経験がない。
「膝」が常用でない奴は、膝枕の経験がない。
「鶴」が常用でない奴は、亀も無縁。(日本航空は常用でなくしたが)
「匂」が常用でない奴は、防臭剤、芳香剤、アロマセラピーなどに無縁。
「須」が常用でない奴は、知り合いに須藤さんが居ない。那須にも行ったことがない。
「椅」が常用でない奴は、立ってなさい!
「股」が常用でない奴は、二股かけちゃいけないよ。
「眉」が常用でない奴は、本当に居るの?眉唾だなぁ。
「挨」「拶」が常用でない奴は、人前に出て来るな!
「鎌」が常用でない奴は、農作業や庭の手入れ経験がない。知り合いに鎌田さんも居ない。
「凄」が常用でない奴は、ある意味スゲぇ〜!
「謎」が常用でない奴は、本人そのものが謎。
「稽」が常用でない奴は、まだまだ練習不足だな。
「咽」「喉」が常用でない奴は、耳鼻科にかかれない。
「貌」が常用でない奴は、鏡を見たことあるのか?
「塞」が常用でない奴は、脳梗塞にも肺塞栓にも無縁で、健康です。
「蹴」が常用でない奴は、馬に蹴られて死にますよ。
「鍵」が常用でない奴は、家の中に入れない。
「膳」が常用でない奴は、いやいや拙者も武士の端くれ、据え膳など食わぬ。
「袖」が常用でない奴は、好きな人から袖にされる。
「潰」が常用でない奴は、潰されても文句は言えない。
「駒」が常用でない奴は、駒扱いされても気がつかない。
「剥」が常用でない奴は、身ぐるみ剥がれても文句は言えない。
「鍋」が常用でない奴は、すき焼きもおでんも鍋焼きうどんも食ってはいけない。
「湧」が常用でない奴は、ワクワクした体験が無い。
「葛」が常用でない奴は、葛湯を飲んだこと無い。
「梨」が常用でない奴は、帽子は冠らないように。
「貼」が常用でない奴は、切手が使えない。
「拉」が常用でない奴は、いや、これが常用の国がどっかにありますね。
「枕」が常用でない奴は、ピロートーク禁止。
「顎」が常用でない奴は、そのうち顎が上がって来る。
「苛」が常用でない奴は、苛められますよ。
「蓋」が常用でない奴は、その事実に蓋をすることもかなわぬ。
「裾」が常用でない奴は、殿中松の廊下を歩けない。
「腫」「瘍」が常用でない奴は、日本人の最大死因で死ぬことは無い。
「爪」が常用でない奴は、いやなに単に隠してるだけ(能ある訳じゃなく)で、実は常用してますよ。鼻くそほじりとかね。
「嵐」が常用でない奴は、これからは気候変動で嵐に遭うことも多くなる。
「鬱」が常用でない奴は、脳天気野郎だ。
「妖」が常用でない奴は、人生つまらないね。
「藍」が常用でない奴は、出藍の誉れなどと賞賛されることも無い。
「捉」が常用でない奴は、物事を理解する力が欠けてないか?
「宛」が常用でない奴は、「行」を「御中」に変える方法を知らない。
「崖」が常用でない奴は、「ポニョ」を見に行く資格無し。
「叱」が常用でない奴は、叱られても当然。
「瓦」が常用でない奴は、もう精神が瓦解してます。
「拳」が常用でない奴は、殴打に値する。
「乞」が常用でない奴は、知らぬ間にホームレスになってしまう。
「呪」が常用でない奴は、確かに呪われてます。
「憧」「憬」が常用でない奴は、何か夢を持ちなさいってば。
「汰」が常用でない奴は、狂気の沙汰。
「勃」が常用でない奴は、男じゃねー!
「曖」「昧」が常用でない奴は、常にはっきりした言動をなさっておられるのでしょう。
「蒙」が常用でない奴は、かえって無知蒙昧ってことに。
「唾」が常用でない奴は、唾液を分泌しない。なんで生きていられるのか?
「艶」が常用でない奴は、色気がないねぇ。
「痕」が常用でない奴は、体に一切傷跡がない。
「諦」が常用でない奴は、諦めた方がいいね。
「餅」が常用でない奴は、年が越せない。
「瞳」が常用でない奴は、カラーコンタクトレンズ禁止。
「唄」が常用でない奴は、カラオケ禁止。
「隙」が常用でない奴は、それ自体隙だっつーの。
「淫」が常用でない奴は、品行方正、禁欲的。
「錦」が常用でない奴は、錦糸町へ行ったことが無い。
「箸」が常用でない奴は、正しく使えない。
「戚」が常用でない奴は、親戚が居ない天涯孤独な人。
「嫉」「妬」が常用でない奴は、心の清らかな人だなぁ。
「蔑」が常用でない奴は、ま、蔑まれるでしょうね。
「嗅」が常用でない奴は、鼻がバカになってません?
「戴」が常用でない奴は、いただけませんな。
「痩」が常用でない奴は、ダイエットなんかするな!
「怨」が常用でない奴は、人を憎く思ったことが無いなんて幸福。
「醒」が常用でない奴は、たまにはアルコール抜きなよ。
「詣」が常用でない奴は、寺社に参拝したことない。
「窟」が常用でない奴は、部屋の掃除をちゃんとしろ!
「巾」が常用でない奴は、歩幅の調整が出来ない。巾着を落としても気づかない。
「蜂」「蜜」が常用でない奴は、甘党でない。
「骸」が常用でない奴は、ま、死後のことだから無理も無いか。
「弄」が常用でない奴は、弄ばれても文句は言えない。
「罵」が常用でない奴は、罵られても文句は言えない。
「璧」が常用でない奴は、完璧とは言い難い。
「阜」が常用でない奴は、岐阜県人にあらず。
「埼」が常用でない奴は、埼玉県人にあらず。
「餌」が常用でない奴は、食い物にありつけない。
「爽」が常用でない奴は、常に体調・気分が悪い。
「詮」が常用でない奴は、要らぬ詮索をしないだけましか。
「芯」が常用でない奴は、芯が弱い。
「綻」が常用でない奴は、お前はもう破綻している。
「肘」が常用でない奴は、肘鉄砲を食らうべし。
「麓」が常用でない奴は、ルート5の値を暗唱出来ない。
「惧」が常用でない奴は、怖いもの知らず。
「頓」「挫」が常用でない奴は、挫折を知らない幸運な人。
「牙」が常用でない奴は、牙を抜かれたも同然。
「嘲」が常用でない奴は、嘲笑われて当然。
「臆」が常用でない奴は、勇気のある人?
「溺」が常用でない奴は、カナヅチにあらず。
「侶」が常用でない奴は、生涯独身。
「丼」が常用でない奴は、吉野家出入り禁止。
「僅」が常用でない奴は、僅差で馬鹿の仲間入り。
「諜」が常用でない奴は、手嶋氏や佐藤氏の著作を読みましょう。
「柵」が常用でない奴は、隣の空き地に囲いが出来たってね、とサクっと言おう。
「腎」が常用でない奴は、腎臓が常に動いてないと人工透析が必要です。
「梗」が常用でない奴は、…「桔梗」なんて使わないよねぇ。
「羨」が常用でない奴は、全然羨ましくない。
「酎」が常用でない奴は、肝臓には良い。
「瞭」が常用でない奴は、脳内があまり明瞭ではないかも。
「踪」が常用でない奴は、常用の人は既に姿を隠しているので、それ以外の普通の人は皆、常用でない。
「栃」が常用でない奴は、栃木県人にあらず。
「蔽」が常用でない奴は、原発内労働禁止。
「茨」が常用でない奴は、茨城県人にあらず。
「慄」が常用でない奴は、ちと暢気すぎるのでは?
「傲」が常用でない奴は、久しからず。
「虹」が常用でない奴は、虻に刺されますよ。
「捻」が常用でない奴は、運動能力が低い。
「臼」が常用でない奴は、「猿蟹合戦」を知らない。餅つきしたことも無い。
「喩」が常用でない奴は、たとえ話が不得意。
「萎」が常用でない奴は、男だなぁ!
「腺」が常用でない奴は、汗かかない。
「桁」が常用でない奴は、そこの数字、桁ズレしてますよ。
「玩」が常用でない奴は、おもちゃの楽しさを知らない。
「羞」が常用でない奴は、少しは恥を知れ。
「舷」が常用でない奴は、船舶関係者以外。
「貪」が常用でない奴は、欲が小さい。
「采」が常用でない奴は、ちあきなおみの名曲を聴いたことが無い。
「堆」が常用でない奴は、有機農法野菜を食べる資格無し
「煎」が常用でない奴は、コーヒー禁止。
「冥」が常用でない奴は、あ、もうこの星は惑星でなくなったな。もって瞑すべし。
「遜」が常用でない奴は、少しは遠慮しなさいよ。
「旺」が常用でない奴は、旺文社の人以外。
「麺」が常用でない奴は、(人類は麺類なので)人類ではないことになる。
「瑠」「璃」が常用でない奴は、…「瑠璃」なんて使わないよねぇ。こんなのがなんで常用なの?
「串」が常用でない奴は、焼き鳥食うの禁止。
「填」が常用でない奴は、エネルギーを120%まで貯められない。
「箋」が常用でない奴は、ここに付箋を貼っときなさい。薬も貰えないよ。
「緻」が常用でない奴は、緻密な頭とは言えない。
「辣」が常用でない奴は、辛辣なこと言われても反論出来まい。
「摯」が常用でない奴は、生き方自体が真面目じゃない。
「汎」が常用でない奴は、応用が利かない。
「憚」が常用でない奴は、少しは憚れ!
「哨」が常用でない奴は、防衛問題に無関心。
「氾」が常用でない奴は、短時間集中豪雨にご注意。
「諧」が常用でない奴は、この記事読んでも理解出来ない。
「媛」が常用でない奴は、愛媛県人にあらず。
「彙」が常用でない奴は、語彙が少ないのは確かだね。
「恣」が常用でない奴は、少々身勝手では?
「聘」が常用でない奴は、どこからも招聘されることはなかろう。
「沃」が常用でない奴は、不毛な人生かも。
「捗」が常用でない奴は、仕事がはかどらないのでは?
「訃」が常用でない奴は、まだその年代じゃないだけで、いずれは常用になる。


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コメント 2

もちろん

こんばんは。いやいや、これらが今度新たに常用漢字に追加される漢字なのですか。それにしても、一つ一つが面白くて、飽きません。「常用」しているのに「常用漢字」ではないというのは、「常用することを認めない」みたいな意味に受け止められるので、なかなか深いですね。えらい先生方の考えをうかがってみたいです。
by もちろん (2008-07-21 01:37) 

ask

 現在の常用漢字は昭和56年制定だそうで、30年間もこれらの字は常用じゃなかったわけで、その間どうやって日本人が生きて来れたのか不思議です。
 あ、それと、私が書いたのは新常用漢字全部じゃなくて、
「伎」「畿」「畏」「冶」「脊」「斑」「曾」
はちょっと何も思いつかなかったので書きませんでした。


by ask (2008-07-21 21:35) 

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