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「シェイクスピアのたくらみ」(喜志 哲雄) [ノンフィクション]

シェイクスピアのたくらみ (岩波新書 新赤版 1116)

シェイクスピアのたくらみ (岩波新書 新赤版 1116)

  • 作者: 喜志 哲雄
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/02
  • メディア: 新書
 私はなぜか戯曲は読まないので、当然シェイクスピアも殆ど読んでいない。読んだのは「マクベス」「ハムレット」「ロミオとジュリエット」だけ。
 そんな私が、なんで今更こんな本を読む気になったのか?
 と言っても、さしたる理由は無い。本屋でたまたま目について、単純だが、タイトルに惹かれた、というのが正直なところだ。duznamak風に言えば「本と目が合った」てなところか。大体「たくらみ」とは尋常ではないではないか? 一体どういうことなのだ?と好奇心をくすぐられたわけだ。
 で、結構〈目ウロコ〉ものだった。シェイクスピアは極めて有名と言うか、古典中の古典、誰でも知っている大作家なわけで、今でも常に世界中で上演、映画化され続けている「不滅の詩人」である。なので、あまりに当たり前すぎて、映画などで何度も見知ったつもりになっており、今更わざわざ読む人は少ないのではないか?とも思うのだが、私もそうなのだ。
 この本では多くの作品の設定、ストーリー展開を簡潔にまとめた上で、そこに仕組まれた絶妙な仕掛けを解明する。そこに現れて来るのは「観客の反応を計算し尽くして、どのように劇に向き合わせるかを企んで書いた」という彼の方法だ。あらかじめ展開を明示してしまい、観客に一歩引かせた視点に立たせて感情移入をあえて妨げる、とか色々な技法を駆使している。実は私は、彼があんな昔にこれほどモダンな手法(それはブレヒトを先取りしている)を既に実現していたということを知らなかったのだ。そういう意味で非常にエキサイティングな本である。錯覚かも知れないが、シェィクスピアの多くの作品群を読んで堪能したつもりになれる、という意味ではお得感もある。おすすめ。
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アヨアン・イゴカー

私は、中学校の頃からシェークスピアに憧れ、高校生以降は、演劇といえばシェークスピアのことでした。
by アヨアン・イゴカー (2008-04-06 19:38) 

ask

あーやっぱり!
この記事を書く際はアヨアンさんのことを少しだけですが、意識してました。そっち方面の人なので。
これ、是非読んで下さいな。ま、あなたなら、「殆どが既知の話だよ」と言われるかもしれませんが…。
by ask (2008-04-06 21:23) 

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