武部本一郎展 [アート]
彼岸とは思えぬ真夏並みの残暑の中、東京大学の工学部裏手にある弥生美術館で開かれている武部本一郎展に行った。日本SFアート界の第一人者の回顧展だが、なんと今回のが初めてだというのは意外だった。
私が彼の名を意識したのは、勿論、彼が大ブレークした
←この作品においてである。純朴な田舎の中学生にとっては、この絵は相当なインパクトがあったのだ。この美しい表紙画とイラストはセンセーションを巻き起こした(らしい)。その評判が広く本場アメリカにまで達して大絶賛を浴びたというのを知ったのは随分後のことだ。この「火星シリーズ」の波瀾万丈血湧き肉踊る面白さには大いにハマったものだ。武部本一郎のイラストの力がそれをより強めていたのは間違いない。何もかもみな懐かしい。
ところが、懐かしさは、この作品関連にとどまらなかった。小学生の頃読んだジュール・ベルヌの諸作品などのイラストも多くは彼の筆になるものだったのを、今回の展示であらためて発見したのだ。これほど膨大な数の作品を描いていたとは驚きだ。見覚えのある絵がいくつもあった。偉大な画家だった、と思う。
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