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「シュミレーション」はメタセシス(音位転換)か? [言葉]

 久しぶりに《言葉》ネタ。ま、既に言い古された話題ではあるけれど。
 「しゅみれーしょん」と入れて変換すると、ATOKは「シミュレーションの誤読」と警告を出す。この間違い(と言いきれるのか疑問になってくるのだが)をする人は多い。Googleでは「シミュレーション」が766万件に対し、「シュミレーション」が250万件ヒットした。(しかし、後者の中には誤用としてこの言葉自体の問題を論じているものも多く、またGoogleの〈表記のゆれ対応〉機能とでも言うべきなのか、「シミュ…」しか使っていないページもヒットしてたりするので、こういう検証には使えない。)
 で、このことについて、duznamakさんが最近
>「シミュレーション→シュミレーション」は、むしろ「音位転換(Metathesis)」であると僕は解釈しています。「アキバハラ→アキハバラ」や「あらたしい→あたらしい」などと同様の現象であろうと。
と書いていたので、考えてみた。
 「音位転換」+「シュミレーション」で検索すると、結構沢山ヒットして、その全てが「シュミ…」を音位転換の一つと見なしている。
 厳密な定義を知らないので、はっきり断言出来ないのだが、〈音位転換〉というのは、単に音の位置が変わること、1音ずつ書いたカードの並びが入れ替わることではないのか?「秋葉原」(バ⇔ハ)や「新しい」(ラ⇔タ)のように。対して「シュミ…」の場合は「ュ」の位置が変わるように見えるが、「ュ」は自立音(という言葉は無いだろうけど)でなく、「ミュ」や「シュ」で1音を構成するわけだから、この場合、「音の位置」の変化ではなく「音」そのものが変化してしまっており、喋り易い順番に位置を変えた、のではなく、喋り易い音に変えた、のであって、「音位転換」の範疇には入らないのではないだろうか?というのが私の疑問である。こういう変化も含めて「音位転換」と言うのであれば、それはそれで仕方ないけれども。


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コメント 2

duznamak

 僕も、「シュミレーション」を“誤用”と言い切るのには抵抗があります。むしろこれは、英語起源の日本語であると考えています。「シミュレーション」と書いて「しゅみれーしょん」と読むような綴り字規則があっても良いと思うんですよね。「僕は東京へ行った」と書いて「ぼくわとーきょーえいった」と読むのと同じで。
 「シュミレーション」という表記は、その口語表現の音写形として、ある程度は認められるべきものだと考えます。ただ、漢字を間違える人(←これは僕ですが・・・)とか、「ナルシスト」と書く人とか、「こんにちわ」と書く人とかがあまり賢そうに見えないのと一緒で、「シュミレーション」という表記は、ちょっとバカっぽく見えます。
 ただ、それを言い出すと、「オーブン(oven)」とか「デリケート(delicate)」とかいう言葉はどうなるんだ、という話になるんですよね。そんな発音の英単語が存在しないという点では、一緒ですから。この手の問題に関してキチっと筋を通すのは、なかなか難しいですね。

 で、音位転換に関してです。確かに、「シュミレーション」は、単なる「母音の変化」、と解釈することもできそうです。比較言語学の観点からすると、母音の変化はむしろ自然な現象ですから。
 音位転換説の妥当性は、最終的に、日本人が音を音節で理解しているのか、それとも音素で理解しているのかによるのだと思います。「シ」「ミュ」をあくまで不可分のものとみなしているのか、それとも「 s + i 」、「 m + j + u 」のように分解可能なものとみなしているのか。後者であれば、「 i ←→ u 」という転換もありうると考えます。いまのところ、どちらが正しいのかは分かりませんが・・・。
 また、音位転換は、隣接した音同士で生じるのが普通です。よく例に出される「brid→bird」もそうですし、口語で使う「フンイキ→フインキ」もそうですね。
 そんなわけでして、「シュミレーション」は、音位転換としては例外の多い現象なのかもしれません。確かに、askさんのおっしゃるように、音位転換ととらないほうがスッキリするかも・・・。
by duznamak (2007-08-09 00:07) 

ask

ひゃっ!素早くしかも詳しいコメントありがとうございます。
>英語起源の日本語である
>口語表現の音写形として、ある程度は認められるべき
>そんな発音の英単語が存在しない
いちいちごもっともで同感です。
>音位転換ととらないほうがスッキリするかも・
専門家の間での通説はどうなってるんでしょうかね?そこまで検索ではわからなかった。
by ask (2007-08-09 00:27) 

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