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「双生児」(クリストファー・プリースト) [SF]

双生児

双生児

  • 作者: クリストファー・プリースト
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/04
  • メディア: 単行本

「魔法」に続いて、「奇術師」をすっ飛ばして、この大作を購入して読んだ。(高かったが)
 第二次世界大戦初期のナチス・ドイツの侵攻に対して徹底抗戦する英国を舞台に、一卵性双生児の兄弟が方や爆撃機の優秀なパイロット、方や良心的兵役拒否の赤十字職員という対照的な生を歩む、その様をそれぞれの視点と、様々な歴史資料を組み合わせて描いており、都市爆撃に関する記述などは非常に詳細かつリアルで迫力があるのだが、当然プリーストなので一筋縄では行かない。実は狙いはそこには無いのだった。
 緻密に構成された仕掛けが読者を混乱させ、現実と幻想・夢、史実と別の歴史との交錯、相互浸透する錯綜したねじれにねじれた世界を現出させる。現代の歴史ノンフィクション作家が過去を調査するのだが、それすらも確固とした外側の視点ではなく、物語に取り込まれてしまう、という凝りに凝った構造で、唖然とさせられる。大森望の解説を読むまで気づかなかったことも多々あって、仕掛けの複雑さにはもう降参! いやはや参った。


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コメント 2

タウム

TBさせていただきました。

評判どおりで面白かったです。
正直重厚すぎて歯が立たない感じはしましたが・・・。
虚実入り乱れて、本当に不思議な魅力に満ちている一冊でした。
by タウム (2007-12-09 01:21) 

ask

タウムさん、コメント有り難うございます。
面白かったですよね。
by ask (2007-12-09 12:39) 

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