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毎日新聞の連載漫画について [サブカルチャー]

 私は「毎日新聞」を購読しているが、そこに連載されている漫画について論じたい。
 まず、今は連載中断しているが「毎日かあさん」(西原理恵子)である。
 中断の理由は元夫の鴨志田氏の死のためのようだ。漫画にもよく登場していたあの子煩悩な人が亡くなった、というのはかなりのショックである。ご冥福を祈りたい。
 で、この漫画だが、とにかくインパクトが凄い。主に二人の子供(兄と妹)との生活シーンが描かれるのだが、「凄まじい!」の一語である。兄のハチャメチャなやんちゃぶり、妹の可愛らしさと〈女の狡猾さ〉の萌芽の取り合わせの妙、主婦仲間との交流の中に垣間見える生活者としてのしたたかさ、などなど。これらの中に見える逞しさは尋常でない。いつも圧倒される思いで読んでいる。絵は乱暴で「下手」ではあるが、大変なエネルギーが紙面から匂い立っているのだ。
 しかも、そういうインパクトばかりでなく、折々にほんのりと現れる〈ペーソス〉というか、しっとりしみじみとした生の実感が素晴らしいのだ。再開を切望している。

 次に夕刊連載の「ウチの場合は」(森下裕美)
 これも実に面白い。「平成のサザエさん」という評すらある。つまり家庭生活の諸相を見事に活写しているとともに、〈時代性〉を帯びた世相や社会的な問題に対する視点もしっかり持っているのだ。個性的な隣人たち、父親の職場の仕事仲間、学校の先生、祖父母、イヌに至るまで、みなキャラがよく立っている。概ねほのぼのとした雰囲気がメインだが、注目すべきは〈ブラックな味〉が結構ふんだんにあることだ。これは社会的な要素の強い場面でよく出ている。特にブラックなのを体現しやすいのが、太ったお父さんで、さすがは社会人、ではある。

 最後に「アサッテ君」(東海林さだお)である。
 これについては苦言を呈さざるを得ない。全く面白くないのだ。9割方が駄洒落オチなのである。シラけること夥しい。何だこりゃ、としか思えない。各キャラも全く立っていない。ネコに至っては名前すらわからない(確かおざなりな名はついてはいた筈だが、作者も多分忘れているようだ)。「ウチの場合は」のモアちゃんとはエラい違いである。
 東海林さだお氏の書く主として食べ物関連のエッセイは、ユーモラスでなかなか面白いのだが、漫画についてはプロとしての及第点に遠く及ばない。すみやかに筆を折って、エッセイストに専念することを勧告したい。毎日新聞も、悪評ばかりが届いている(という話を聞いた)この漫画は直ちに終わらせるべきであろう。


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コメント 2

duznamak

毎日新聞は、たまに見る程度ですが・・・

「アサッテ君」って、やっぱり評判悪かったんですね。つまらん上に、絵が下手なんですよね。無駄に線が多くて。お父さんと息子は、見分けつかないし。

ただ、あのマンガ以外は、面白い連載がそろってますよね。特に、<万能川柳>と、日曜版の書評ページはすばらしい。
by duznamak (2007-04-04 01:29) 

ask

><万能川柳>と、日曜版の書評ページはすばらしい。
同感です。
あと、「発信箱」も好きですね。
by ask (2007-04-05 22:34) 

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