「ファンタジア」の「禿山の一夜」を冨田勲の音楽で観る [サブカルチャー]
ウォルト・ディズニー作品の日本での著作権が切れた過去のアニメ作品群が大量に廉価DVD(¥500)として売られている。
ディズニー社はこれに反対して期限延長を主張しているらしい。自分の権利には極めて強硬に殆ど偏執狂的に固執して、子供がミッキーマウスの落書きをすることさえ禁止しようとしてるようだが、一方で「ライオンキング」で「ジャングル大帝」をパクったり、「アトランティス」で「不思議の海のナディア」や「ラピュタ」の剽窃をしていることにはしらんぷりの〈鉄面皮〉いや〈鉄仮面〉ともいうべき会社なので、まぁアメリカンスタンダードである【二枚舌】の極致みたいな会社ではある。嗤っちゃいますね。手塚プロの方では「ディズニーに真似されるなんて光栄の極みで、告訴なんかする気はない」といたって鷹揚な構えとか。過去の遺産にすがるようになった会社は、もう先はあまり長くはないだろうな。
それはそれとして、「ファンタジア」はまがうことなき名作、傑作である。かつて徳川夢声だったかが、戦後あれを見て「アメリカという国は戦時中にこんな凄いものを作る力のある国だったとは!これではあの戦争で日本が勝てるわけが無いのがよくわかった」と言ったとか。なるほど、である。
最初に見たのは、子供の頃、隔週金曜日に放送されていた、「三菱ダイアモンドアワー/ディズニーランド」というTV番組の「お伽の国」シリーズでの放映だった。その後LDで入手したが、今回出たDVDをまた(安いので)購入した。パソコンで見れるのはメリットだし。
その中にムソルグスキー作曲「禿山の一夜」がある。これの出来もなかなか素晴らしい。ディズニーは可愛らしいものの描写に長けている一方で、魔女など不気味でグロテスクなものについても相当な嗜好があるという指摘も聞いたことがあるが、頷ける話である。
さて、一方で昔からファンである冨田勲のシンセサイザーによるアルバム「火の鳥」の中に収められた「禿山の一夜」があり、これはこれでまた凄い作品であった。
その評の中には「イメージ喚起力でディズニーを越えている」というのもあり、確かに音だけでありありと目の前に映像が浮かぶという迫力のある作品なのだ。(効果音的表現を多用してはいるが)
で、この両雄が私のパソコンの中で相見えることとなったのである。DVDプレーヤーソフトでファンタジアを(消音モードで)再生しつつ、同時にiTunesで冨田勲を演奏させ、画像と音楽を合わせたら、究極の「禿山の一夜」のコラボレーションが実現するのではないか?と思って早速試してみた。DVD画面を小さく表示し、iTunesの操作も出来るようにして。
タイミングを手動で合わせるのが難しい!しかも、双方のテンポが微妙に違う。なかなか絵と音がシンクロできない。それに冨田の方が演奏時間が大幅に長いのだ。で、ところどころ少しだけ近い程度の状態しか再現出来ず、それ以上の試みは諦めてしまった。結局、この二作品はあくまでも別々の作品なのである。両者に対して冒涜的な試みだったのかも知れない。
しかし、こんなことも自分の机上で出来る時代になったんだなぁ、と感無量ではあるのだった。
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