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「嫋々」という言葉 [言葉]

 以前、友人(高校の国語教師)の家に遊びに行って、その娘の大学生に引き合わされた時に「うーん、可愛い! なんか嫋々として…」と思わず口に出た。私の「語彙力」の限界に近い、滅多に使わない言葉ではあった。
 そこはさすが国語の先生、ニヤリとしながら、娘に向かって
「お前、知ってるか?『ジョウジョウ』ってのはな、女へんに「弱い」と書くんだぜ」
と言うと、娘はなんとも釈然としない表情を浮かべていた。
 多分「なんじゃそりゃ!するってーと何かい?私ゃ魚で言えば〈鰯〉かい?」とでも思って、「腐ってしまった」のかも知れない。あの後ちゃんとフォローしないまま、別の会話に移ってしまったのが悔やまれてならない。
 「嫋」という字の訓読みは「たおやか」である。で、この「嫋々」という言葉の意味は「細くしなやか」だ。「嫋々」は
(1)風がそよぐさま。そよそよ。「--たる秋風」(2)しなやか。なよなよ。「--と舞う」(3)音声が細く長く続くさま。「余韻--」  (岩波漢語辞典)
一方「新明解国語辞典」によると
(1)なよなよする形容(2)音声が低く長く響く形容
となっている。
 「なよなよ」とはまた、普通かなり悪い意味ではないか。弱々しく、うじうじ、めそめそ、おずおずとしてる、もっとしゃっきりせんかい!みたいな。ま、「弱」という部首を含むので、無理も無いかもしれないが、「嫋々」となると、音に関しては単に無機的な機械的騒音には使わず、「春の宵に、琴の音は嫋々と響き渡り…」というような艶っぽい意味での使い方がされるものであろう。
 つまり、私はあのとき、なよなよしてるという意味ではなく、瑞々しく色っぽくもすがすがしい、というような意味で使ったのだ。父親はそれくらいは容易に感得していた筈だが、あの皮肉っぽい注釈ではその真意は伝わらなかっただろう。
 私の使い方に無理があったのだろうか?言葉の使い方は難しいものではある。


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もちろん

言葉の使い方は確かに難しいのですが、askさんの言葉使いは、かなり一般人の限界を超えているようにも感じますよ。私の語威力がないだけでしょうが、普段使い慣れない言葉は、やはり使い慣れませんからね。でも、とても勉強になります。勉強になるブログは少ないですから、とても面白いと思います。
by もちろん (2007-03-02 23:55) 

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