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「献灯使」(多和田 葉子) [小説]

ディストピア小説の一種だろうが、一筋縄ではいかない。解釈が難しい。

献灯使

献灯使

  • 作者: 多和田 葉子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/10/31
  • メディア: 単行本


「震災以後文学」というものが特に声高に言われているわけでもないかもしれないが、とても鈍感で脳天気な作家でもない限り、あの震災の後で、それを意識しないで作品を書き続けることなど出来はしないだろう。そういう意味では全ての文学作品がこの範疇に入るのだが、それをとりわけ強くにじませている作品群というものはありそうだ。そして、この小説はその中に当然含まれる。

 明らかに東日本大震災と福島第一原発事故の後の世界を意識した、近未来小説である。が、原発のことは正面からは語られていない。子どもたちの不健康さに如実に現れているのだが。
 さらに、日本が鎖国しているとか、各県ごとの農業政策の違いとか、とても〈奇妙〉なトリッキーなシチュエーションが語られる。しかし、その政治経済社会学的な説明はなされない。「ファンタジー」と言われても仕方がないくらい、設定は適当だ。これはSFではないのはハッキリしているのだけれど。

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