「悟浄出立」(万城目 学) [小説]
万城目学の作品を読むのは「偉大なる、しゅららぼん」以来4年ぶりと、久々だ。
今回のは短篇集、初出は「yomyom」誌2009年から2014年にかけて発表。すべて中国古代の有名な話を題材にした、それぞれユニークな立場の主人公の心の動きに注目して展開する〈心理小説〉。
「悟浄出立」では西遊記のマイナーな登場人物である沙悟浄の自分探し的思い、「趙雲西航」では三国志の将軍・趙雲の望郷の念、「虞姫寂静」では項羽の愛妾・虞美人の最後の一世一代の演技、「法家孤憤」では秦の始皇帝暗殺未遂事件の犯人・荊軻と数奇な運命で関わる官吏、「父司馬遷」は受刑後の父を励ます娘…。
と、それぞれ全く別のエピソードが連なりつつ、個々の尋常ならざるシチュエーションに逢着しての悩み思い惑い、それでも凛々しく行動し生きていく姿が描かれる。中島敦ほどの格調はないものの、好短編揃い。どこまでが史実でどこからが創作なのかわかりにくいのがちょっと困るが、それは読み手の側の問題か。
今回のは短篇集、初出は「yomyom」誌2009年から2014年にかけて発表。すべて中国古代の有名な話を題材にした、それぞれユニークな立場の主人公の心の動きに注目して展開する〈心理小説〉。
「悟浄出立」では西遊記のマイナーな登場人物である沙悟浄の自分探し的思い、「趙雲西航」では三国志の将軍・趙雲の望郷の念、「虞姫寂静」では項羽の愛妾・虞美人の最後の一世一代の演技、「法家孤憤」では秦の始皇帝暗殺未遂事件の犯人・荊軻と数奇な運命で関わる官吏、「父司馬遷」は受刑後の父を励ます娘…。
と、それぞれ全く別のエピソードが連なりつつ、個々の尋常ならざるシチュエーションに逢着しての悩み思い惑い、それでも凛々しく行動し生きていく姿が描かれる。中島敦ほどの格調はないものの、好短編揃い。どこまでが史実でどこからが創作なのかわかりにくいのがちょっと困るが、それは読み手の側の問題か。
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