「月と篝火」(パヴェーゼ) [小説]
イタリアの作家チェーザレ・パヴェーゼの小説。この作家の名前だけは随分昔から目について、「美しい夏」などそのタイトルにも惹かれ関心はあったのだが、ついつい手を出しかねて今まで読んだことがなかった。
最近岩波文庫で出たのを店頭で見つけて(珍しく)買って読んだ。岩波文庫なんて読むの、何年ぶりだろう。彼の最後にして「最高傑作」という。このタイトルもなかなか詩的で魅力的だ。
イタリアのトリノ近くの農村を舞台に第二次世界大戦前後の人々の暮らしを描いている。主人公は捨て子で貧農に引き取られ、極貧の中、農場の使用人になり、成長して逞しくなって行く。
その彼の「観察者」としての目で村の様々な人々の生きざまが描かれる。背景にあるのは戦争、ファシズム、レジスタンス、パルチザン。夥しい死と生。
ここに登場する人々は、誰をとっても一筋縄でいかない〈濃さ〉を持って鮮烈な印象を与える。生き方が「激しい」のだ。時代のせいもあるのだろうが、個性的で欲望・煩悩に満ち、貧困に苦しみ、あるいは富に奢り、あるいは凡庸、あるいは真摯さ、また放埒、傲慢と実に多様な人生模様が綴られる。
この描写、語り口にはラテンアメリカ文学の〈マジックリアリズム〉に近いものを感じた。多くの〈家族〉に訪れる、過酷で猥雑で波瀾万丈の人生模様。
細かな現実的で赤裸々なストーリー展開と、その説話的な世界の奥に醸される象徴的あるいは神話的な構造というものが、この作品世界にはある。
最近岩波文庫で出たのを店頭で見つけて(珍しく)買って読んだ。岩波文庫なんて読むの、何年ぶりだろう。彼の最後にして「最高傑作」という。このタイトルもなかなか詩的で魅力的だ。
イタリアのトリノ近くの農村を舞台に第二次世界大戦前後の人々の暮らしを描いている。主人公は捨て子で貧農に引き取られ、極貧の中、農場の使用人になり、成長して逞しくなって行く。
その彼の「観察者」としての目で村の様々な人々の生きざまが描かれる。背景にあるのは戦争、ファシズム、レジスタンス、パルチザン。夥しい死と生。
ここに登場する人々は、誰をとっても一筋縄でいかない〈濃さ〉を持って鮮烈な印象を与える。生き方が「激しい」のだ。時代のせいもあるのだろうが、個性的で欲望・煩悩に満ち、貧困に苦しみ、あるいは富に奢り、あるいは凡庸、あるいは真摯さ、また放埒、傲慢と実に多様な人生模様が綴られる。
この描写、語り口にはラテンアメリカ文学の〈マジックリアリズム〉に近いものを感じた。多くの〈家族〉に訪れる、過酷で猥雑で波瀾万丈の人生模様。
細かな現実的で赤裸々なストーリー展開と、その説話的な世界の奥に醸される象徴的あるいは神話的な構造というものが、この作品世界にはある。
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