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「ここは退屈迎えに来て」(山内 マリコ) [小説]

 田舎で暮らす若い女性たちの生活と心理を描く連作短編集。舞台はおそらく著者の出身地、富山県か?

ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て

  • 作者: 山内 マリコ
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2012/08/24
  • メディア: 単行本


 各編ごとに主人公の女性が異なり、境遇も様々である。が、必ず登場する男(椎名)が一人居て、役どころは異なる(元クラスメートだったり、兄妹だったり、結婚相手だったり)が狂言回しをやっているのが趣向として面白い。

●東京に出たがなんとなく10年近く経って、帰郷して実家に戻り、バイト生活している女性●美少女だった女の子が東京に出てアイドルとして一世を風靡するがやがて歳とともに売れなくなって田舎に戻ってバイトしつつ婚活●学業がうまくいっていない大学院生が帰省してゲーセンで怠惰に過ごす●椎名に大阪に去られて呆然と日々を過ごす女。仕方なくつきあってる男●高校へのアメリカ人女子留学生の性行動●家庭教師のライフスタイルへの憧れを上京後の一人暮らしで実現する●中年ハゲ男性を好む援交女子高生●処女で性欲亢進、16歳での喪失計画、淫夢にハマる。1年間眠り続ける親友

 …これだけ極端に省略すると、なんのこっちゃ?!だろうが、同年代の女性の目で平易な文章で赤裸々に女性群像を描き出す。確かに「退屈」さ、凡庸さ、あるいは焦燥感、がよく出ている。背景にあるのは、あの例の「ファスト風土」、地方の疲弊なのだが、どっこい生きてるという側面もある。とは言え「したたかに、たくましく」と言うのとはやはり違う。各編ごとに程度の差はあるが、鬱屈した閉塞感は確実にあるだろう。相当〈身も蓋もない〉ような描写ではあるが、現代女性の実相がリアルに再現されていると見るべきだろう。
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