「嵐のピクニック」(本谷 有希子) [ファンタジー/ホラー/ミステリ]
店頭で見かけて面白そうだなと思って、読んでみた。短篇集。
この作家のを読むのは初めてだが、自ら劇団を主宰する脚本家らしい。
13篇の短編からなり、どれもこれも極めて異様で超現実的な奇想世界が描かれている(一部はリアルではあるが、異様さは変わらない)。SFではなく、ホラー・ファンタジーという括りに入るだろうが、脈絡の無さはもう悪夢のような世界だ。どれも短くて、狐につままれたような気分のうちにすぐに終わる。
「アウトサイド」:やる気のない少女に優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気の行方。
「私は名前で呼んでる」:キャリアウーマンが会議室のカーテンの膨らみに妄想に囚われて発狂する。
「パプリカ次郎」:屋台の並ぶ市場を襲うスーツ男。意味がわからない。
「人間袋とじ」:足の小指と薬指がしもやけでくっついた部分を切開して、かつて入れた恋人の名前のタトゥーを剥き出す。
「哀しみのウェイトトレーニー」:冷たい夫。ボディビルにのめりこむ主婦の。意外なハッピーエンド。
「マゴッチギャオの夜、いつも通り」:動物園のサル山の猿たちとチンパンジーとのコミュニケーション。イタヅラで殺されたチンパンジーをよみがえらせる奇跡。
「亡霊病」:気味の悪い奇病を大衆の面前で発症する少女。その悲劇の分刻みの進行と心理の動き。
「タイフーン」:浮浪者が、傘で強風の空を飛ぶ。
「Q&A」:80歳を過ぎて現役の人生相談コラムニスト。最後の大特集でブラックかつ大爆笑な言いたい放題。
「彼女たち」:交際相手に突然決闘を申し入れる女達の大発生。変身して
男に襲いかかる。阿鼻叫喚。
「How to burden the girl」:父を母から奪って同棲し子供を生んだ女。襲い来る悪の集団。
「ダウンズ アンド アップス」:売れっ子デザイナーが悪戯心で若者を集めてサロンを作る、他人との関係の不安定さに右往左往する心理。
「いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか」:試着室に何時間もこもって姿を見せない客を応対する店員。夜を徹して試着し続け、全ての服を試した後、他店にまで試着室ごと移動。果たしてヒトなのか?
…などなど、どれをとっても〈わけがわからないよ!〉な作品ばかり。「居心地の悪い」思いになる。読後感は相当によろしくない。ただ妙にヘンな魅力のようなフワフワしてとらえどころのない、希薄な存在感が確固としてある(と言うのも矛盾した言い方だが)。読んだことも冗談だった、ということにしておこうか。お薦めはしないが、否定もしない。
この作家のを読むのは初めてだが、自ら劇団を主宰する脚本家らしい。
13篇の短編からなり、どれもこれも極めて異様で超現実的な奇想世界が描かれている(一部はリアルではあるが、異様さは変わらない)。SFではなく、ホラー・ファンタジーという括りに入るだろうが、脈絡の無さはもう悪夢のような世界だ。どれも短くて、狐につままれたような気分のうちにすぐに終わる。
「アウトサイド」:やる気のない少女に優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気の行方。
「私は名前で呼んでる」:キャリアウーマンが会議室のカーテンの膨らみに妄想に囚われて発狂する。
「パプリカ次郎」:屋台の並ぶ市場を襲うスーツ男。意味がわからない。
「人間袋とじ」:足の小指と薬指がしもやけでくっついた部分を切開して、かつて入れた恋人の名前のタトゥーを剥き出す。
「哀しみのウェイトトレーニー」:冷たい夫。ボディビルにのめりこむ主婦の。意外なハッピーエンド。
「マゴッチギャオの夜、いつも通り」:動物園のサル山の猿たちとチンパンジーとのコミュニケーション。イタヅラで殺されたチンパンジーをよみがえらせる奇跡。
「亡霊病」:気味の悪い奇病を大衆の面前で発症する少女。その悲劇の分刻みの進行と心理の動き。
「タイフーン」:浮浪者が、傘で強風の空を飛ぶ。
「Q&A」:80歳を過ぎて現役の人生相談コラムニスト。最後の大特集でブラックかつ大爆笑な言いたい放題。
「彼女たち」:交際相手に突然決闘を申し入れる女達の大発生。変身して
男に襲いかかる。阿鼻叫喚。
「How to burden the girl」:父を母から奪って同棲し子供を生んだ女。襲い来る悪の集団。
「ダウンズ アンド アップス」:売れっ子デザイナーが悪戯心で若者を集めてサロンを作る、他人との関係の不安定さに右往左往する心理。
「いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか」:試着室に何時間もこもって姿を見せない客を応対する店員。夜を徹して試着し続け、全ての服を試した後、他店にまで試着室ごと移動。果たしてヒトなのか?
…などなど、どれをとっても〈わけがわからないよ!〉な作品ばかり。「居心地の悪い」思いになる。読後感は相当によろしくない。ただ妙にヘンな魅力のようなフワフワしてとらえどころのない、希薄な存在感が確固としてある(と言うのも矛盾した言い方だが)。読んだことも冗談だった、ということにしておこうか。お薦めはしないが、否定もしない。
タグ:ファンタジー
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