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「SOSの猿」(伊坂 幸太郎) [ファンタジー/ホラー/ミステリ]

 伊坂幸太郎の作品を読むのは3冊目。2009年に単行本で出たのは知らなかったが、今文庫化されて書店に平積みになっているので気がついて、読んでみようと思って図書館で借りたのだけれど、

SOSの猿

SOSの猿

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2009/11/26
  • メディア: 単行本




なんじゃこりゃ?!駄目だ。

 孫悟空、引きこもり、エクソシスト、株売買の入力ミス事故、DV、交通事故、ユング心理学(集合的無意識)等々のキーワードを組み合わせた三題噺ならぬ7題噺(?)である。つまり、脈絡もなく無理矢理とって付けたようにそれらが盛り込んであるのだが、ストーリーらしきものはもう〈ご都合主義〉とすら呼べない適当さ加減だ。設定も展開も無理がありすぎるし、不自然きわまる。読者(連載した読売新聞の?)を馬鹿にしてるんじゃないか?と。文章は読みやすいけれど、日本語としての美しさ、などはない。
 例によって参考文献やら、その道のエキスパートに話を聞いたりして執筆してるのだが、なんともにわか勉強の付け焼き刃、薄っぺらさが露呈している感がある。全く面白くなかった。こんなのが平積みで売れてるなんてどーなってるんだ?

 実はこの作品は五十嵐大介の「SARU」という漫画とのコラボ(?)らしい。といっても全く作品相互の関連はなく、単にキーワードを共有してそれぞれ自由に書いたらしい。その漫画の方は3年前に読んでいた(ブログには書かず)。漫画の方が遙かに出来がいい。世界構築がたくみで、歴史的地理的に壮大な物語が展開している。SOWにあふれており、ディテール描写も秀逸。
 それに対してこの小説の方はまるで素材が生かされておらず、等身大のレベルでの〈市井の人間模様〉的世界にとどまっている。この作家はそういう世界しか書けないんじゃないか?と「終末のフール」の時と同じ感想を持った。SFやファンタジーには向いていない、と言わざるを得ない。
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