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東京大学・朝日講座「知の冒険」13「HOUSE VISION 産業の未来を可視化する」 [アート]

 先日友人からメールで、こういう催しがあるので行ってみたらどうかという案内をもらった。
東京大学・朝日講座「知の冒険」
 こんなのを東大がやってるとは全く知らなかったのだが、全13回のうち、4回は一般人にも無料で公開されており(公開講義のお知らせ)、その最後の回が近々開催されるというのだ。その概要は、第13回・原研哉 (武蔵野美術大学基礎デザイン学科 デザイナー)「HOUSE VISION 産業の未来を可視化する」に詳しい。
 ※原研哉氏のWikipediaページはこちら

 なかなか面白そうなので、どうせ暇だし、行ってみることにした。東大構内へ入るのは何年ぶりだろうか?

 4:30に法文2号館2階の大教室に入ると、一般参加者は両端と後ろの方に座るようにとの指示があったので、中央やや左の後方に陣取った。
朝日講座会場.jpeg
学生の本来の受講生は前寄りの「いい席」である。差別みたいな気もしないでもなかったが、無料だし、この講義はちゃんと単位も取れる正規の授業なのでそれも仕方あるまい。やがて席は7割方埋まって、なかなか盛況である。一般参加者も多い。かなりの年配者も多かった。

世話役?の先生からの口上
〈知と幸福〉をテーマに様々なアプローチをしてきた。
総合的に社会と表象デザインの関係を考えて、デザインとは技能でなく感性と洞察力、本質をつかむこと。今日のテーマは〈家〉
 ということで、パワーポイントかKeyNoteかよくわからなかったが、動画も交えたプレゼンテーション講義が始まった。面白かったのだが、簡単に概要を記述することは困難なので、以下にその時にとったメモをそのまま載せる(細密圧縮充填リスト)。わかりにくくて申し訳ない。

●産業の交差点に〈家〉が浮かび上がる=目に見える形●デザイナーはブランディング、アイデンティフィケーションを行って綺麗な商品を作る●今日、次の産業が見えない状況→潜在するもの仮想してビジュアライズして提示することにデザイナーの役割がある●Senseware Tokyo fiber '09(高度機能繊維)の紹介(3次元マスク、不織布、熱変形、可変型ソファー、3D苗床、炭素繊維椅子、笑う自動車、超撥水性繊維)●単品家電を作るだけではダメ●展覧会で日本性を出していないつもりなのに外国からは日本的と言われたこと●繊細で緻密で丁寧で、日本は圧倒的にモノづくりの国である●社会のどこも到達していないようなものを作れる●日本のこれから、アジアの中で衰えそうな少子化高齢化の波●シンガポールは数十年しか歴史がない●日本の歴史的な蓄積は大きい●日本人の65歳は世界の55歳なみに元気で行動力があり資産がある。どう活かしていくか●大人カルチャーをまだ売り出していない。どんな消費文化を作れるか●デザイン=価値のコントロール●家は金融商品(転売しやすさ)だった。そろそろ消費の形が暮らしの道具として変わる●プロダクツ文化圏の土壌になった実態●車もセダンのような貴族趣味のステータスシンボルではなく、庶民的な実用性のあるワンボックスカーが主流になっている●日本の欲望のレベルは成熟してきている。家が空間量は増え再生可能になっている●家の構造としてのスケルトンと中身に入るインフィルは別で後者は変更可能●家族構成が激減し人数が減っている。1人ないし2人暮らしが6割を占める●自分なりの希望でオーダーメード建築●潜在的欲望を実例の形で喚起する欲望のエデュケーションすなわち住宅リテラシーの成熟●リノベーションを支えるネットワークの方法、トラブルシューティング、SNSで情報共有で建築家が参加する●住宅産業だけでなくいろんな産業の交差点、あらゆる分野の人がアイコンタクトを取り一種過冷却の状態で刺激一発で結晶化する●1)エネルギークレバーな知恵で作り、省エネも。2)モビリティーの進化、個人用などニーズ外のところで発想。3)複合家電、全部壁になっていくミニマリズム新鮮さ、環境と人体。4)住宅リテラシーの成熟、日本は多様、変化が大きかったから。5)人生仕上げの家の市場力、子供が育ったあとでもう一度自分の幸せ用の家を。6)美意識資源の運用生活面に生活知、もの多すぎ捨てたほうがいい。感性に合わせかっこいい日本式伝統の様式、空間だけでなく精神所作の秩序文化として形成●ニーズに合わせてルーズ=鈍感にならせるのでなく意識資源に注目。何もないテーブル上の漆の器に美しさ●人生の知見、無頼派的な評価でなく健康で生産的に生きて●空き地を使ってテントでハウスビジョン、展覧会を行う●ユーザーに設計権が移行する●シンポ2011東京で、アジア各国の動きを見た、自分たちのライフスタイルの延長に未来のハウスを作る●新しい常識で家をつくろう●文化はもともとローカルなものであり、グローバルの文脈にのせるだけ●課題があると面白い意欲が湧く●デザインの力とは覚醒させる力●かつて都市計画はエリートが発案していた、実は設計はできない、ある時気がついて社会が一皮むけて変わっていく●ユーザーレベルの啓蒙法とは…日常レベルから発想する豊かさを見いだす。それでエクスフォーメーション=進化する●幸せを感じるには人は誇りや張りが必要●価値のヒエラルキー、バリューをつける側に立つこと=魔法をかけよう

感想)
 デザイン、特に工業デザインという世界にはまるで詳しくはないが、単なる表面的な美しさだけではなく、ライフスタイルに深く関わるものということはAppleの製品などを見ても感じてはいたことである。今回の講義ではそれよりもさらに深く広汎に、特に〈家〉の設計を通して産業構造の変革や文化的創造にまで至る遠大な、それでいてトリビュアルな部分にまで目を配った考察が展開されて非常に興味深かった。
 原氏がディレクターとして開催される”HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHI8BITION”(講義中にその展示物の多くが紹介された)にも行ってみたいと思う。
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佐野

この細密圧縮充填リストというのは講義を聴きながらスマホで入力していくの?
by 佐野 (2013-01-31 07:45) 

ask

>この細密圧縮充填リストというのは講義を聴きながらスマホで入力していくの?
 いやいや、メモはすべて紙に手書きでした。iPhoneのフリック入力は熟達すると非常に高速に、喋る速度いや思考速度並みに高速に入力できる人も居るんだけど、私はとてもそこまで行かないし。orz
 「細密圧縮充填リスト」というのは、最終的にアップロード用に整形された文書形式で、エディタで手で仕立ててます。それ用の入力整形アプリがあるわけじゃない。
 今回のは、手書きメモ→iPhoneのSiriで朗読入力して電子テキスト化→EverNoteでiMacに転送→iMac上のエディタ(WriteRoom)で修正/”●”など入力、改行削除/追加補足文入力→ブログにアップロード、という迂遠な方法でやってます。手間が大変だァ。

by ask (2013-01-31 14:03) 

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