SSブログ

「フリッカー、あるいは映画の魔」(セオドア・ローザック) [ファンタジー/ホラー/ミステリ]

13年前に出てかなり評判になったのでいつか読もうと思っていたのだが、なかなか手をつけられなかったのだが、たまたま図書館で見かけて借りてきた。いやぁ〜、長かった。びっしり上下二段組600ページ近くの大作。読了までに10日以上かかってしまった(最近とみに読書力が落ちてきているせいもある。ベッドで読んでると眠くなってしまうのだ。)。

フリッカー、あるいは映画の魔

フリッカー、あるいは映画の魔

  • 作者: セオドア ローザック
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1998/06
  • メディア: 単行本
(文庫版も出ている)


 忘れられた戦前のドイツ人映画監督マックス・キャッスルの謎を追う物語。とんでもない映像操作テクニックの存在(サブリミナルをより巧妙にした効果)、その謎・由来に迫り、話は中世のテンプル騎士団やキリスト教異端のカタリ派にまで及び、世界規模の陰謀にまで至る。展開の予想外の連続。あっと驚く結末に至るまで極めて精緻に構築された一大奇想小説だ。

 実在の映画や俳優や監督の名前がたくさん出てくるので、虚実の境界が曖昧になる。ペダンティックな味付けも濃厚。映像のディテール描写がまた迫真的で、まるで読んでて映像が浮かぶかのようだ。長丁場で続く丁々発止の会話の深さ…。開いた口がふさがらない小説である。

 さほど当時のハリウッド映画に詳しくないので、人名を見てもピンと来ないのがもどかしい。映画通の人ならワクワク感は凄いだろう。勿論私もオーソン・ウェルズが登場した時などは興奮したが。
 映画好きの人でまだ読んでいない人には絶対のおすすめ。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。