SSブログ

「ラスト・チャイルド」(ジョン・ハート) [ファンタジー/ホラー/ミステリ]

先日「ウォッチメーカー」を読んだばかりなのに、またミステリ大作を読むというのは私にしては異例なのだが、この時期は年末恒例〈年間ベスト〉が出揃う時期なので、ついそれにひかれて、というわけで、運よく図書館で借りられたこともあり、一気読みした。

ラスト・チャイルド (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1836)

ラスト・チャイルド (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1836)

  • 作者: ジョン・ハート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/04/09
  • メディア: ペーパーバック


 もともと不熱心なミステリ読者である私は、こまめに新刊を追いかけることはせず、〈年間ベスト〉に挙がった作品のうちからいくつか見繕って翌年1年の間に読む(しかも積ん読は増える)程度の弱小ファンなのだった。

 で、この作品は「文春」で1位、「このミス」で5位、「ミステリが読みたい」で1位、というとても評価の高かったもの。全体として今年の海外ミステリベストワンと言えるだろう。作者についても内容についても予備知識無しで読んだ。
 なるほどとても面白く、読み応えがある。ミステリなので謎解きもあるし、ストーリー展開自体その基本線は守られているのだが、それよりも〈家族の危機〉や〈友情〉などのヒューマンな要素、つまり文学的側面のウェイトがはるかに大きい。深みを感じさせるところだ。
 設定(13歳の少年が、家庭崩壊の中、誘拐された双子の妹を探し求める)というのは相当に異様である。展開も含め、言ってみれば〈ご都合〉的ではある。しかし、その一途さひたむきさのリアリティが圧倒的なので、気にならない。各キャラの濃密な造形・描写とスピーディな展開で読者を引き込む筆力がハンパない。読んでいてありありと映像が脳裏に浮かぶ凄さは、訳(東野さやか)の良さにもよるのだろう。おすすめ。
タグ:ミステリ
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。