「ラスト・チャイルド」(ジョン・ハート) [ファンタジー/ホラー/ミステリ]
先日「ウォッチメーカー」を読んだばかりなのに、またミステリ大作を読むというのは私にしては異例なのだが、この時期は年末恒例〈年間ベスト〉が出揃う時期なので、ついそれにひかれて、というわけで、運よく図書館で借りられたこともあり、一気読みした。
もともと不熱心なミステリ読者である私は、こまめに新刊を追いかけることはせず、〈年間ベスト〉に挙がった作品のうちからいくつか見繕って翌年1年の間に読む(しかも積ん読は増える)程度の弱小ファンなのだった。
で、この作品は「文春」で1位、「このミス」で5位、「ミステリが読みたい」で1位、というとても評価の高かったもの。全体として今年の海外ミステリベストワンと言えるだろう。作者についても内容についても予備知識無しで読んだ。
なるほどとても面白く、読み応えがある。ミステリなので謎解きもあるし、ストーリー展開自体その基本線は守られているのだが、それよりも〈家族の危機〉や〈友情〉などのヒューマンな要素、つまり文学的側面のウェイトがはるかに大きい。深みを感じさせるところだ。
設定(13歳の少年が、家庭崩壊の中、誘拐された双子の妹を探し求める)というのは相当に異様である。展開も含め、言ってみれば〈ご都合〉的ではある。しかし、その一途さひたむきさのリアリティが圧倒的なので、気にならない。各キャラの濃密な造形・描写とスピーディな展開で読者を引き込む筆力がハンパない。読んでいてありありと映像が脳裏に浮かぶ凄さは、訳(東野さやか)の良さにもよるのだろう。おすすめ。
ラスト・チャイルド (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1836)
- 作者: ジョン・ハート
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/04/09
- メディア: ペーパーバック
もともと不熱心なミステリ読者である私は、こまめに新刊を追いかけることはせず、〈年間ベスト〉に挙がった作品のうちからいくつか見繕って翌年1年の間に読む(しかも積ん読は増える)程度の弱小ファンなのだった。
で、この作品は「文春」で1位、「このミス」で5位、「ミステリが読みたい」で1位、というとても評価の高かったもの。全体として今年の海外ミステリベストワンと言えるだろう。作者についても内容についても予備知識無しで読んだ。
なるほどとても面白く、読み応えがある。ミステリなので謎解きもあるし、ストーリー展開自体その基本線は守られているのだが、それよりも〈家族の危機〉や〈友情〉などのヒューマンな要素、つまり文学的側面のウェイトがはるかに大きい。深みを感じさせるところだ。
設定(13歳の少年が、家庭崩壊の中、誘拐された双子の妹を探し求める)というのは相当に異様である。展開も含め、言ってみれば〈ご都合〉的ではある。しかし、その一途さひたむきさのリアリティが圧倒的なので、気にならない。各キャラの濃密な造形・描写とスピーディな展開で読者を引き込む筆力がハンパない。読んでいてありありと映像が脳裏に浮かぶ凄さは、訳(東野さやか)の良さにもよるのだろう。おすすめ。
タグ:ミステリ
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