「遺失物管理所」(ジークフリート・レンツ) [小説]
新潮社の現代海外文学叢書〈クレストブックス〉には魅力的な作品が多い(ような気がする)。たくさんあるので、どれを読もうか迷ってしまうのだが、たまたまTwitterで誰かがこの本を紹介していたのを目にして、「これ幸い」と読んでみることにした。6年前に出た本だが。
ドイツ北部の都市の駅構内の遺失物管理所に配属された若い男の経験する様々な遺失物にまつわる話である。
これは、例によって〈設定の勝利〉だ。珍妙な落し物の数々、その落とし主たちがかいま見せるそれぞれの事情と人生、そういうバリエーションを次々に展開できるわけだから、なんとも心憎い題材ではないか。素直で元気が良くて心優しい人物が仕事を通して成長していく様子を克明に描いて、好感が持てる。社会の暗い面もいくつか描かれはするが、爽やかな読後感が嬉しい。
作者は練達の老作家で、77歳にしての書下ろし作品だそうで、いまだ健在を示したと言う。非常に読みやすい楽しい小説だった。
ドイツ北部の都市の駅構内の遺失物管理所に配属された若い男の経験する様々な遺失物にまつわる話である。
これは、例によって〈設定の勝利〉だ。珍妙な落し物の数々、その落とし主たちがかいま見せるそれぞれの事情と人生、そういうバリエーションを次々に展開できるわけだから、なんとも心憎い題材ではないか。素直で元気が良くて心優しい人物が仕事を通して成長していく様子を克明に描いて、好感が持てる。社会の暗い面もいくつか描かれはするが、爽やかな読後感が嬉しい。
作者は練達の老作家で、77歳にしての書下ろし作品だそうで、いまだ健在を示したと言う。非常に読みやすい楽しい小説だった。
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