「プリンセス・トヨトミ」

　この著者ので読むのは「鴨川ホルモー」に続いて２作目。「鹿男あをによし」はTVドラマで観たので、読んでいない。

プリンセス・トヨトミ

• 作者: 万城目 学
• 出版社/メーカー: 文藝春秋
• 発売日: 2009/02/26
• メディア: 単行本

　いやはや奇想天外、驚天動地。しかし、見事だ。前作「鴨川」「鹿男」と違い、超常現象は一切出て来ない。

　リアルな描写／展開だけで、これだけの壮大なファンタジーを構築した技量は凄い。設定と構成の緻密さには脱帽。この作家、一皮剥けたと言っていいのではないだろうか？
　松平、真田、橋場（＝羽柴）、蜂須賀などの登場人物の名前も由来が分かって面白い。（鳥居はよくわからないが。）旭って、秀吉の妹だっけ？
　物語前半はちょっともたつき感はあるが、それでも読ませる力は十分にある。飽きさせないでダブルプロットを進行させている。クライマックスでの「大阪全停止」とはなんとも大変な異常事態で、こういう展開は新しい。
　ラストは感動的である。涙が出て来たほど。
　それにしてもうまく作り上げたものである。もしかして、これって、本当に「大阪国」ってあるのかも、とすら思わせられる（ってのは冗談だが）。やたらと詳しい街の描写が出て来るが、大阪はまるで知らないので、実感が湧かないのがイマイチなのだが、ぜひご当地在住の方の感想を聞いてみたいものだ。（なので、Twitter で大阪の人に薦めておいた。）

タグ：ファンタジー

コメント 2

街の詳しい描写とか名称が出てくる作品の場合、距離感とか位置関係が掴める方がやっぱり楽しめますよね。生まれ故郷を題材にした作品を探して早4年、いまだ出会えずです。
askさん、ご存じないですか？恵庭市を題材にした作品なんて…てへ。
by peco (2009-11-26 07:35) 

>ご存じないですか？恵庭市を題材にした作品
うーん、寡聞にして存じません。と言うかその地名すら始めて目にしたくらいでして、すみません。
で、お詫びに「ググれカス」を自分に呟き、ググりましたら、その関連では「ＯＬ焼殺事件」しか出てこないんですね。文庫にはなってるみたいですけど。ちと殺伐とし過ぎで、ホンダラホダラカホーイホイなpecoさん向きではないな、と。

by ask (2009-11-27 00:52)