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言語力は衰退しました [言葉]

 昨夜(11/25)のNHK総合「クローズアップ現代」で、〈言語力〉の衰退問題を扱っており、興味深く視た。言葉を操って、論理的な思考を育むことが近年の子供や若者において弱くなって来ている、という背筋が凍るような深刻な話である。特に作文が出来ない、自分の考えをまとめてわかりやすく文章化することが出来ない、という傾向がある、と。
 背景はこうだ。
 幼少時には、単語を単発でしか話せない。「ジュース!」→(がどうした?)→「飲みたい」→(どうして?)→「喉が渇いたから」と、問いかけて言葉を引き出すことが大事で、親子間の対話が必要となる。現在では「孤食」の問題(例の「普通の家族がいちばん怖い」だ!)から家庭内の会話が少なくなっており、言語習得練習、筋道を立てて論理を展開する訓練が不足傾向にある。親が範を示す必要があるのだ。子供の話はかったるいが、根気よくつき合って十分に話させるべきだ。
 いじめの質が変わり、言葉によるいじめになっている。人間関係を構築する言葉というものを失っている。傷つけてしまう言葉の怖さの体験的学習がなってない。実体験が少なくなっている。小学校教育が大事。

 大学生でも、面接などで用意した答えならすらすら言えるが、とっさの問いかけに反応出来ない。文章も断片的で思いつくままに単語を並べる。単語で気持ちを通じ合っている話し言葉そのままである。画面の狭い、短い文章のケータイメールでは話し言葉をそのまま発するようになり、細切れの文、文と文との関係を意識的に推敲すべきところを端折ってしまう。

 サッカーでも言葉は技術より重要な人間の基本的根幹であることが表われる。選手の判断が重要なので言語力の育成がなされている。メンバーとの意思疎通、考えを伝える能力を養成すると、プレーの質が上がる。そのために、道順の説明とかで、自分の考えを論理立てて説明する訓練をしている。

 ある小学校での取り組み:先に結論を言い、後からその理由を説明する。1年生から「なぜなら」を使う訓練。考えを整理する手法。論述文を書く練習へと、成長段階に応じてレベルを上げて行く。
(以上要約)

 これで思うのはやはり家庭教育力の衰退のひどさだ。日本の家庭はどーなってしもたんや? 日本人の劣化はもはや誰も否定出来ないような気がする。学校教育もうまくいってない。しつけレベルのことを学校に期待するのは荷が重すぎるにしても、もう少し工夫はして欲しい。

 さて、同じ日にこんなものにネット上で遭遇した。
>その後、首相が挑んだ相手は全国の知事たち。こちらも「地方交付税」が仕分け対象になったことで、一部から不満の聞かれた。そんな中、鳩山首相は「国というものがなんだかよくわからないのですが、国というものが力を持って、何でもがんじがらめで地域を縛ってしまう。そういうやり方は、一切やめたい」と述べ、この席で鳩山首相は「地方交付税増額の必要がある」と言及した。
元URL→ http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00167229.html

このニュースに関して噴き上がったdisの嵐だ(「痛いニュース」)。(Twitterで知った)

 あの番組を見た後でこの事態に遭遇したわけだが、なんかシンクロニシティというか、実例を視た感覚があった。つまり、言語力の不足から来る曲解と言う要因を見たのだ。文脈を読むということがわからないらしいので、補足してみよう。
 この「なんだかよくわからないのですが」は、「えーと」とか「まぁ〜この〜」程度の〈間投詞的〉表現である。丁寧に喋ろうとして不必要に冗長になっている。「よくわからない」のは「今ここで詳しくその予算科目や事業名の詳細を述べることは出来ないが」という意味であろう。決して、「そもそも国、国家とは何か」を論じようとしているシチュエーションではない。補助金(いわゆるひも付き予算、使途が決まっていて自治体が自由に使えない)の問題を言おうとしているのである。まぁ不適切な表現には違いない。サンケイの記者が意図してかせずかはわからない(なにしろ「下野なう」だし)が、喋り言葉をそのままテープ起こしして、読点(「、」)があれば良かったのだろうが、それが無いために「国というものがなんだかよくわからない」と独立した文言として切り取られることになってしまった。その結果、こんな騒ぎになってしまった訳だ。
 つまり、批判者は片言隻句を捉えてツッコミたい気持ちなんだろうが、誤読してますよ、と言いたいのだ。
 かと言って、私は鳩山総理を擁護する気は起こらない。大体言葉の使い方が下手である。こんな誤解を生むような表現をするようでは。麻生元総理の漢字力と(質は違うが)どっこいどっこいではないか?(ちなみに麻生支持の人たちは、自分の漢字力と同等なので親近感を覚えている、ような気がしてならない。あと、閣下が日陰者のオタクを持ち上げてくれたこと、か?)
 さらに、資金管理団体をめぐる偽装献金問題は、辞任に値する深刻な問題だろうと思っている。人格に関しての疑念・不審な思いは膨らむ一方だ。弟も含めて、エキセントリックな印象は、どうもあの兄弟は〈普通じゃない〉感を強める。大体、世襲政治家なんてろくなもんじゃない。祖父がいかに傑出した人物であったとしても、孫にはそのDNAの1/4しか伝わっていないし、その大半は「包茎かどうか」「耳毛が生えるか」など、どーでもいー形質を左右してるに過ぎず、一般人との有意差などは無いんだから。
タグ:言語力 漢字
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がれ

「国というものがなんだかよくわからない」というあの発言は、国という言葉が中央政府だけをあらわすのか、それとも他も含むのか、それがいまいち分からないという趣旨だと思いました。

確かにこの部分はなくても成立するので、間投詞的表現というのも頷けますが、上のような意味がないならネットで言われている批判もあながち間違ってはいない気がします。
by がれ (2009-11-26 18:46) 

ask

>中央政府だけをあらわすのか、それとも他も含むのか
なるほど、いやしかし、この場(知事さんたちを前にして)では、地方自治体を含むかどうか、という意味は持ち得ないと思いますよ。中央政府と地方との補助金を巡る話な訳ですから。
で、そういう意味が無いと、ネット批判が成立する、とは「国というものはそもそもなんなのかわからない」と言い放ってることになる、と理解するわけですか?
そうかなぁ?
by ask (2009-11-26 18:53) 

ask

蓮舫議員が Twitter 上で呟いた「親子の会話」↓
https://twitter.com/renho_sha/status/6130465014
言語力養成的にはなかなかよろしいと思うが、最後のオチが、必殺仕分け人も身内には甘いんじゃないか、という疑念を生じさせないか?
by ask (2009-11-28 22:36) 

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