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日蝕で儂も考えた [サイエンス]

 今日の皆既日蝕について。勿論東京では部分食で曇っていたが、ほんの一瞬だけ雲が薄れて、裸眼で1/3ほど欠けた太陽を見ることが出来た。
 テレビは軒並み各地からの実況中継を続けていたので、10時頃からザッピングしながら釘付けになった。Twitterでも、中国にまで出かけた人の実況なども刻々と入り臨場感が醸し出される。
 テレビ中継ではNHKの硫黄島からのが一番見応えがあった。
 この放送の中で解説者がダイヤモンドリングを見逃して、呑気に遠い海の明かるさを延々と描写しているのとカメラ画像との不一致がおかしいが、大倍率でコロナやプロミネンスを鮮明に捉えた画像は素晴らしい。
 今回の皆既帯には上海が含まれていたが、あそこも生憎の曇り空で、1000万人以上の人がチャンスを失った。上海人口は「生」で見れた筈の人々の中で相当なウェイトを占めるのではないか? もったいないことだ。また悪石島では見れないどころか、暴風雨に襲われて踏んだり蹴ったりの不運に見舞われて、わざわざ出かけた人たちの失望たるや同情を禁じ得ない。
 月蝕、流星雨、彗星、超新星、金星蝕、火星大接近…などなど、天体ショーあまたある中で、皆既日蝕は最もド派手なものだ。部分食と皆既ではまるで迫力というかインパクトが異なるであろうことが想像できた。私は皆既日蝕を生で見ていないので、いまいち実感を持てないのだが、太陽が完全に隠され、辺りは真夜中のように暗くなるというのは、これはもう大変な異変だろう。「この世で最も美しい光景だ」とか「人生観が変わる」とか言っていた人も居た。「人生観」よりは「世界観」の方が適当ではないか?という気もするが、人生は世界の中で展開する、あるいは逆に〈人生は世界を包含する〉とも言えるので、同義と言ってもいいのかもしれない。
 で、日蝕のもたらす認識上のインパクトとは何か?を考える。
 ひとつ思うのは、普段は空を平面的な天球としてのっぺりと奥行きの無い、ただ遥か遠いだけのものとしてしか捉えていない人が、実は宇宙とは三次元的な奥行きをもったダイナミックな運動の営まれている場だ、ということを実感出来る、ということではないか? 野球のボールと待ち針の頭を両手に持ってシミュレートする、つまり「宇宙を僕の手の上に」して操作してみることが出来ることの感覚。
 私は天文学やSFに興味があったからそのような認識は元々持ってはいるが、一般的にはそうではないのでは?と思うのだが、どうなんだろう?
 それにしても、太陽と月の大きさと距離の比が、どちらも400:1と同じであるために起こるこの現象の、偶然というには出来すぎた奇跡のような一致、というのは今更ながら驚かされる。銀河系の中で、一体こういう主星と衛星を持つ惑星が一体何個あるか?恐らく数千億個のうち数個あるかないか。これはまるで「がしつらえた」としか言いようがないほどの偶然だろう。これを〈神が居る証拠〉に挙げている宗教ってあるのだろうか? そのメカニズムを踏まえた上で、なおかつ神を持ち出すということはありそうもないのだけれど。
 そして、数分間隠れただけで地上に冷気をもたらす太陽という存在のとてつもない恵み、それを痛感させてくれる出来事としての日蝕ではあった。
タグ:天文学
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コメント 5

SHI-NO

私も生で見たかったんですが(部分日食だけでも)、その時間自動車の教習だったんですよね(ToT)ううう・・・・・・

きっと生で見たほうが感動しただろうな・・・・・・
by SHI-NO (2009-07-23 07:59) 

ask

いや「生で」と言っても、私が見たのもほんの一瞬で、全然感動も何もありませんでしたね。
「うん、確かに欠けとる」程度で。
皆既と部分とじゃ、こりゃーもー全く次元の違う体験でしょう。
by ask (2009-07-23 16:13) 

thisisajin

私も見ました。見ました。もう遠い過去の出来事のような気がします。
by thisisajin (2009-07-24 16:15) 

ask

tjisisajinさん、はじめまして。nice!&コメント有り難うございます。

>もう遠い過去の出来事のような
えっ?と思いましたが、考えてみると、ああいう壮大なスケールの出来事って、人間の等身大な日常世界とかけ離れすぎていて、時空間感覚が狂っちゃうのかも。
by ask (2009-07-24 23:08) 

ask

「皆既」じゃなくて「部分」でも、こんなにきれいな写真がある、とTwitterで知った。
http://www.boston.com/bigpicture/2009/07/the_longest_solar_eclipse_of_t.html
by ask (2009-07-28 16:33) 

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