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「お行儀の悪い神々」(マリー・フィリップス) [ファンタジー/ホラー/ミステリ]

 中学時代にハマったのだが、ギリシャ神話はとても面白い。いたずらしたり浮気したり嫉妬したりストーカーしたりのあまりにも人間的なキャラが笑えた(ま、日本神話だって「なりなりて」セックスしたり、乱暴狼藉したり引きこもりしたり、と負けてないが)。それぞれの神々はとても個性的だった。
 なので、店頭にあった新刊で目についたのが、この本である。
お行儀の悪い神々

お行儀の悪い神々

  • 作者: マリー・フィリップス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/03/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 でもその場では買わずに(なにしろ無収入なんで)、試しに図書館でオーダーしたら新刊にしてはすぐに借りられたのはラッキーだった。
カバーの宣伝文を引用すると、
遥か昔の神話の時代、オリュンポスの神々はギリシャで栄華を極めた。だが、時は現代、ロンドンに移住した神々は困窮に喘いでいた。月と狩りの女神アルテミスはドッグ・シッター、美の女神アプロディテはテレフォンセックスのオペレータ、そして太陽神アポロンはいんちき霊能者としてかろうじて生計を立てていた。神々は神通力を失いつつあり、将来に希望はない…。ある時、アプロディテの策謀によりアポロンが人間の女性に一目惚れすると、世界存亡をかけた大騒動が…。
 という訳で、おふざけのコミック・ノベルである。ハチャハチャである。作者はイギリス人の30歳女性で、これが処女作。さすがイギリス、モンティパイソンのノリを思い出させられる。「英米で絶賛と爆笑の嵐」だそうだが、まだ日本ではブレークしていない(ので、図書館ですぐ借りれたのだが)、というか外国小説のブレークなんて「ハリーポッター」か「ダビンチ・コード」みたいな突出したもの以外は殆ど皆無だから、この作品もあまり売れないだろう。必読、ってわけでもない。
 さて、トンデモな設定で始まったこの作品、前半はただただ呆れるばかりのコミカルさでそれなりに面白いのだが、戯画化しすぎでやや顰蹙ものかなぁと読み進めて行くうち、なかなかどうして、結構まともな〈愛と勇気の冒険〉譚へと転じて行き、最後は感動的なまでの…おっとネタばれはいけないので、ここまで。
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コメント 2

ub7637

日本神話もギリシャ神話も、要するに啓典宗教的な唯一神と正反対で、「やおろずの神々」なんですよね。彼らは、力があることを除けば、人間とあまり変わらないけど、あらぶってて、感情の起伏が激しい。だから、人間臭くもあり、愛憎劇にも自然と熱が込もるのでしょう。

……みたいなことを、この記事を読んで即興で思いついたんですが、あってるのやら、まちがってるのやら(おいおい。
ギリシャ神話も日本神話も、中高生くらいに読んだことがあるのですが、詳しい中身は完全に忘却の彼方ですねぇ。


by ub7637 (2009-05-11 02:29) 

ask

「やおよろず」だと八百万だから、竃(かまど)の神様とか、大樹とか巨石とか泉とかいろんな物にも神が居るというアニミズムで、いわゆる「多神教」とはまた少し違うような…。
 とにかく、神話の面白さはファンタジーの原型ですね。
by ask (2009-05-11 13:14) 

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