SSブログ

「フューチャリスト宣言」(梅田 望夫, 茂木 健一郎) [ノンフィクション]

フューチャリスト宣言 (ちくま新書 656)

フューチャリスト宣言 (ちくま新書 656)

  • 作者: 梅田 望夫, 茂木 健一郎
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2007/05/08
  • メディア: 新書

今年の5月に出た本なので、そんなに読むのが遅れたというわけではないのだが、でもこの本のことを書くのはネットの世界ではだいぶ遅いことになるのではないか、という感覚がある。これが普通の小説なんかだと、そんなに気にはならないのだが、内容がまさにインターネットのことを扱っているだけに、そういう気分を起こさせるのだ。既にネット上には沢山の関連書き込みがあるに違いない(って、いちいち検索して調べてはいないのだが)。
 で、この本、極めてポジティブな前向きの希望に溢れたインターネット礼賛である。ネットの持つ、〈知のかけ算〉的効果の素晴らしい可能性を繰り返しこれでもかとばかりに説く。美しく感動的な言説であり、共感するところ大である。インターネットに初めて接した頃の感覚を思い出させられた。
 しかし、この楽観的な見方には冷めた意見もあるだろう。今や現実のインターネットにはむしろ負の側面の方が強く出て来始めているようである。ネット犯罪の急増、ネットいじめ、現実逃避のネット中毒、2ちゃんねる的醜悪な言説の横行 etc。
 結局のところ、インターネットをどう使うかは、ユーザー一人一人の個人のリテラシー能力によって決まるのであろう。この著者二人はともにその能力に恵まれ極限的なまでにインターネットを活用出来ていると思える。それを可能にする基盤をもともと二人は〈リアル〉世界に保持していたからこそ、そのような事が出来たのだろう。そうでない凡人にとっては宝の山も猫に小判、豚に真珠であって、ネット上にはそんな猫や豚たちが溢れかえっている、とも言える。
 さて、翻って自分を省みるに、私はフューチャリストたり得るのか、それとも猫や豚だろうか? 前者の域に達していないことは明白だ。かと言って猫豚であることを認めたくはないのだが……。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。