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世襲には向かない職業 [世の中]

 またしても、〈医師の息子〉による殺人事件が起こった。
 記憶に新しいところでも、奈良県の高校生の放火殺人事件、渋谷の予備校生の妹殺害解体事件と、枚挙に暇がない印象がある。これらの事件の背景には、〈医者の息子が、親と同じように医者になることを期待されたプレッシャーに押しつぶされての凶行〉という共通項があると思われる。
 「職業は世襲されるべきである」とは、これまたなんとも前近代的な発想ではある。人には「職業選択の自由」が基本的人権として保証されているはずであるのに、こんなアナクロニズムがまかり通っているとは、しかもそれが人の命をあずかる崇高な仕事である医師について特に強く作用しているとは、全く持って許し難い風潮である。歌舞伎役者じゃあるまいし。
 医師になるには高い学力は勿論必須だが、それ以上に適性と使命感が求められる筈である。たまたま医者の子に生まれたからといって、それらが無条件に備わっている保証は全く無いのであって、その齟齬に苦しむ子供たちの数は一体どれくらいなのか、想像を絶する。
 逆に世襲が最もし易いのは政治家であろう。本人の能力や適性とは無関係にジバン、カンバン、カバンを引き継ぎさえすればいいのだから(端的な例が、今の北朝鮮やアメリカやそして他ならぬ我が日本の最高権力者たちである)。しかし、し易いとは言っても、政治家というのは「最も世襲されるべきでない職業」ではあろう。
 「親が医者なので医者になった」ような医者に診てもらいたいとは思わない。勿論、幼い頃から親の仕事ぶりを見て尊敬し、自分もそんな医者になりたい、と自ら選択したのであれば褒められこそすれ、何ら問題はない。そうでなく、単に「儲かるから」「社会的地位が高いから」「いい女(財産目当ての?)と結婚できるから」というだけで、子供に医者になるよう陰に陽に強制する親や周囲が問題なのだ。(ちなみに、歯科医は今や増えすぎて過当競争となり、収入が少なくなって負け組転落の危機にあるらしいとも聞いたが)
 「医者の子供が、敢えて医師を志した場合には、10年間の僻地勤務を義務化する法案」を提出したい。


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