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「変な学術研究1」 [ノンフィクション]

変な学術研究 1 (1)

変な学術研究 1 (1)

  • 作者: エドゥアール・ロネ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 文庫
タイトル通り、世の中にある【ヘンな科学研究】を集めた本である。内容を細密圧縮充填リスト方式で表面積を少なくしてざっと書くと…。

●変わった離れ業的自殺法●羊の目的(食肉/羊毛)別品種改良法●ハトの絵画判別能力●不吉関連迷信の統計的検討●動物が好む音楽の種類●ゴッホが「月の出」を描いた正確な日時を天文学と測量で推定する●ペンギンは飛行機を見上げて転倒するかを追試する●子供の偏食の理由は進化論的説明可能●綿菓子をいつまでも新鮮に保存する方法●ラグビーのゴールキックの成功率を上げるには時間をかけて集中力を高める●人類が体毛を失った進化の理由は、女性が毛深い男と性交すると毛についた寄生虫をうつされるので嫌ったため●侮辱語の用法的多義性●バターを塗ったトースト落下に関するマーフィーの法則を実験で証明●SARSは宇宙から飛来した●ありえないような偶然による奇怪な事故死●株式投資のゼロ知性モデル(ランダムに買う)はアナリストと同成績●星の数と砂の数を推定比較●チアリーダーや着ぐるみマスコットの負傷状況●警報ランプが一斉に点灯するクリスマスツリー状態によるパニックを避けるため、各警報ごとに効果音を設定するアイディア●魚は痛みを感じるか●プルースト研究の膨大さ●CERNの巨大加速器は電車の運行や潮の干満、雪解けなどの検知機になる●キリンの持つ悪臭の分析●ヨーロッパの麻薬汚染の指標としての紙幣付着度●ヤシの実の落下による事故の統計●火星探査機でメタンガスを測定して火星の生物のおならを検知する●麻薬エクスタシーの毒性に関する誤報●世界の確固たる基盤としての山の標高の不確かさ●恋愛中の人は強迫性障害の患者と同様にセロトニンが減少●あくびの伝染感受性と性格との相関●遺伝子組み換えで蛍光を発するウサギを作る●言葉の沈黙の多義性、無音音楽の演奏のラジオ放送●おならの出にくいインゲン豆を作る●温暖化を討議する地球物理学会議参加者が乗る飛行機で発生するCO2●ある材料を粉砕するために必要なエネルギーは粉砕後の表面積の増加に比例●猫アレルギーの元のアレルゲンを出さない猫を遺伝子組み換えで作る●ブラジャーの肩紐がずり落ちない方法●ニワトリに歯を生やす●失業は仲間が多いと増える●プレイメイトの体型変遷研究●5歳児が開発した新しいブランコの乗り方の特許取得●レストランでクラシック音楽を流すと売り上げが伸びる●映画でのてんかん発作演技は不完全●猫がキーボードを叩いたのを検知するソフト●ワールドカップ優勝で心筋梗塞死が激減●科学者の脳を活性化させるには恋をさせよ●禁煙ソフトの無効性●左利きは早死にの理由●上司の威圧は血圧上げるストレス●客の言葉をおうむ返しにするとチップが増える●象は走ることを確認●エラから肺呼吸への進化がしゃっくりの原因

……と、まぁ実に沢山の脱力系研究が収集されている。著者は主に学術論文を渉猟してこれだけのネタを探し出したのだが、その苦労は察してあまりある。どの話もそこそこ面白い。「抱腹絶倒」となったのはあまりないが、ニヤリとはさせられる。
 しかし、こういうのにばかり注目していると、科学記者としての目、感覚がヘンにならないのか?という疑念は生じる。
 ところで、これを読んで思い出したのが、当然あの「イグ・ノーベル賞」のことだ。イグノーベル賞日本人受賞者の一覧を見ると、この本の中の「ハトの絵画判別能力」が受賞している。最近ではドクター中松氏の受賞があるが、都知事選のとき、あの人はこの受賞を誇らしげに経歴に載せていたが、イミわかってんだろーか?
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コメント 4

duznamak

 これは面白そうですね。買って読んでみます。個人的には、「バターを塗ったトースト落下に関するマーフィーの法則を実験で証明」「星の数と砂の数を推定比較」「ヤシの実の落下による事故の統計」あたりが気になります。


>イグ・ノーベル賞

 ドクター中松、「頭のよくなる食べ物」ですね。うろ覚えですが、毎日の食事を写真に撮って、その後に頭がスッキリすれば「良い食事」、だるくなったら「悪い食事」に分類していくという・・・・・・。そりゃ「実験」って言わないよ!!

 イグ・ノーベル賞は、たまにほんとに凄い(でも何の役にも立たない)ものがあって、大好きです。化学を専攻している友達に教えてもらったのですが、Tour教授の「ナノプシャン」とか。さらにTour教授、最近は「ナノカー」なるものを作ったそうで。しかも、ただ単に見た目が車っぽいだけじゃなくて、本当に走るんだとか(参考サイト↓)。

http://www1.accsnet.ne.jp/~kentaro/yuuki/mow/0510/nanocar.html
by duznamak (2007-05-27 01:06) 

ask

>これは面白そうですね。買って読んでみます。
そうそう、これはduznamakさんのツボにはまりそうな本だな、と思ってました。
「ナノカー」見ました。凄いですねーー。
by ask (2007-05-27 01:19) 

duznamak

 読み終わりました。いやぁ、面白かった。一番笑ったのは、「モネとピカソの作品を識別するハト」の話です。ピカソの作品は上下逆にしても大丈夫という、マンガみたいなオチにやられました(でも、あの実験方法だと、その結論は出せないような・・・・・・「ピカソは餌、モネはお預け」という条件で実験する必要があると思いました)。

 この本の一番の欠点は、論文が掲載された雑誌名が日本語に訳されていて、検索しにくい(むしろ、できない)という点ですね。あと、筆者のギャグがあまり面白くないのも減点かなぁ。
by duznamak (2007-06-06 23:26) 

ask

>欠点は、論文が掲載された雑誌名が日本語に訳されていて、検索しにくい(むしろ、できない)という点
なるほど、流石は学者さんの意見ですね。文献情報が大事というのは。
私なんて初出誌に当たろうなんて発想はしないものなぁ。

>筆者のギャグがあまり面白くない
ですね。というか語り口が下手というか、も少しレトリックを効かせて欲しいです。同じ題材でも東海林さだおとかが書けばもっと面白いかも。
by ask (2007-06-07 22:14) 

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