「工場」(小山田 浩子) [小説]
2010年第42回新潮新人賞を受賞した作品。その後2014年、「穴」で第150回芥川賞を受賞したのは記憶に新しいが、私はこの「穴」はまだ読んでいない。つまり、この「工場」が初めて。
この「工場」という作品は処女作である。ということは、〈処女作には基本的にその作家の持つ全ての要素が含まれる〉の法則に照らして、この作家の方向性が明らかに開示されている。
非常に変わった作風の作品で、幻想的というか不条理劇というか、「不思議の国のアリス」的、カフカ的でもあり安部公房的でもあり…。巨大・広大な工場という非常に人工的な空間を舞台に設定し、3人の主な登場人物がこの工場(を支配する企業体?)に雇われて、それぞれヘンな職場に配属されて、訳のわからん無意味としか思えない仕事をさせられるという、支離滅裂なわりに描写はリアルでじわじわ来る作品。周りの環境に押し流されて右往左往するサマが突き放したように描写されている。こういう雰囲気、そんなに嫌いではないのだけれど、夢中になれるわけでもない。
各人が一人称で語るのだが、その場面が唐突に切り替わりいささか混乱させられる、これもまた一つの手法なのだろう。
「穴」についても、同様の不条理な妄想的世界が描かれているようなのだが、これにハマってすぐに読んでみようという気にはなれなかった。そこまで暇ではないよ、と。
この「工場」という作品は処女作である。ということは、〈処女作には基本的にその作家の持つ全ての要素が含まれる〉の法則に照らして、この作家の方向性が明らかに開示されている。
非常に変わった作風の作品で、幻想的というか不条理劇というか、「不思議の国のアリス」的、カフカ的でもあり安部公房的でもあり…。巨大・広大な工場という非常に人工的な空間を舞台に設定し、3人の主な登場人物がこの工場(を支配する企業体?)に雇われて、それぞれヘンな職場に配属されて、訳のわからん無意味としか思えない仕事をさせられるという、支離滅裂なわりに描写はリアルでじわじわ来る作品。周りの環境に押し流されて右往左往するサマが突き放したように描写されている。こういう雰囲気、そんなに嫌いではないのだけれど、夢中になれるわけでもない。
各人が一人称で語るのだが、その場面が唐突に切り替わりいささか混乱させられる、これもまた一つの手法なのだろう。
「穴」についても、同様の不条理な妄想的世界が描かれているようなのだが、これにハマってすぐに読んでみようという気にはなれなかった。そこまで暇ではないよ、と。
タグ:芥川賞
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