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「トークイベント・平成24年度の文学界を斬る!」 [小説]

足立区の生涯学習センターで3月20日に開かれた「中央図書館トークイベント2・平成24年度の文学界を斬る!」(大森望@nzm、豊崎由美@toyozakishatyouの対談・無料)を聴いてきた。
 2月5日ころから募集していたようだと勘違いしていた(実際は26日から)。Twitterで知ったのは3月6日。もう埋まってるかもと案じながら、3月7日朝9時に電話して申し込んだら、区民でなくてもOKで、80人枠のところ10番台がゲットできた。まだそんなに空いてるのか、まさか人気がないのか、とTwitterに書いたら、それを豊崎氏のRT経由で見た関係者から「受付簿が電話の台数分の3つあるんですよ」と教えられた。入場権が得られたのは幸運だった。最終的には当然満席。

 入り口で渡されたパンフには二人のプロフィールや芥川/直木賞候補作リスト、Twitter文学賞リスト、お勧め本リストなどがあり、別紙で〈質問したいこと〉を書く紙もあったので、始まる前に書き込んで、まっさきに提出しておいた(後述)。

 このお二人(も含めて)の対談は「Twitter文学賞」決定Ustライブで二度見たので、毎度おなじみ感がある。その時の話、受賞作品やお勧め作品などについての同じ話(「本にだって雄と雌が…」「青い脂」「楽園のカンヴァス」「2666」「海の見える街」など)の繰り返しも多くて、「それはもう聞きました」が全体の半分近くあったのだけど、ホントの生で聴くのはやはり臨場感がある(当たり前か)。まぁおさらいとしてまた聞きなおすのは苦痛ではなかった。

 座った席も前から二列目の真ん中という特等席なので、お二人と何度も目があった。見つめ合うことはなかったけどw。ところが、隣りに座った30代と思しき大柄な男性が、脳内思考部位と発声部位がショート(大脳反射弓形成?)してるらしく、ずーっと相槌(「ふむむむ〜〜」とか「ほぉおお〜〜」とか「ひゃははふふほほほ〜!」とか)を口に出し続けるので耳障りで困った。ノって楽しむのはいいけど、はっきり言って迷惑千万。ガムテープを貼っ付けたいとまではいかなかったが。

 このトークショーの白眉といえば、やはり芥川/直木賞の〈選評評〉である。選評を更に評価するというおせっかい極まるこの場の最大のツッコミ先を常に提供し続けていた、豊崎氏の天敵にして偉大なる選考委員・故じゃない石原慎太郎氏が追放じゃない辞任して、大きすぎる空白が生じたにもかかわらず、それを補って余りある(ほどではないか?)ツッコミ先が、宮本輝氏とか渡辺淳一氏とか、まだまだ居られるのだというのがよくわかった。
 とにかく豊崎氏の毒舌というか、辛辣というか、寸鉄人を刺す、というか、ちぎっては投げちぎっては投げ、快刀乱麻のごとく斬りまくる、そのもたらす抱腹絶倒、爽快感は尋常でない。エッラソーにしてる奴の悪口は楽しい、あら探しは楽しいったら。

 対象を特定できないように(ってか、あらかた忘れてしまったのだけれど)寸評を細密圧縮充填リストで再録すると(表現は私の記憶変形と要約的改変が入っているので、正確ではない)、
●文章の量が極端に短い。耄碌して書けなくなったか?お迎えが近いかも。●この人どーしちゃったのかしらねぇ。●自分の読書体験を実況中継してるだけじゃん。●褒めて褒めて褒めまくってるけど、最後に矛盾が爆発して、それ褒めてるの?みたいな。自分で何書いてるかわかってんの?●「自分の好みじゃないが他の委員がいいんならそれでいいや」だってさ。●作者編集者出版社選考委員読者あらゆる方面に気配りしてる徹底ぶり完全性がすごすぎる。●候補作へのコメントが、次々に連環リンクしてて一つの文芸作品になってる、凄い(けど何を言いたいのやら)。

 と事ほど左様にもう言いたい放題で、ノりまくっていた(でもこれが平常運転か)。大森氏はそのややもすると暴走しまくるのを冷静に抑える役を演じていた印象。と言っても、日本SF作家クラブ加入拒否問題(大森氏は絶対いれてやらんと頑ななメンバーが居る。この問題で瀬名氏の会長辞任が早まった、とか)に関してはいささか私情が入った感はある。でも終始冷静に淡々と事実のみを語っていたのはさすが紳士だ。

 豊崎氏推薦の著「わたしの物語」(セサル・アイラ著、松籟社)。この著者は南米の作家たちにとてもリスペクトされているという。しかし、どうしてなのかはわからなかった、とか。それ、お勧めなんですか?

 さて、質問票は2,30枚はあったんじゃなかろうか。その中から6枚ほど選ばれたのだが、私が書いたのはめでたく採用された。その内容は、
>お二人の読書量は「パネェ」量ですが、速読術などを会得なさっておられるのでしょうか? 文芸書に速読はなじまなくないでしょうか?
というものだった。
 それに対してはお二人とも、「自分は読むのは速くない」という話だった。豊崎氏はせいぜい月に15冊程度だと。50冊くらいは行きそうな印象だったのでこれは意外だった。書評に採用する効率が異様に高いんじゃなかろうか?
 それに関連して、豊崎氏のお勧め本の一つ「2666」(ロベルト・ポラーニョ著、)は物凄い分厚い大作なのだが、これは集中して読んでも10日かかったという。それでもお勧めするんだから、こりゃ相当なもんだろう。私はちょっと手を出しかねているのだけれど。

 ともかく最初から最後までハイテンションで楽しい2時間を堪能できた。有難う御座いました。
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