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「オレンジの陽の向こうに」(ほしお さなえ) [ファンタジー/ホラー/ミステリ]

Twitterで大森望氏がツイートしてたのを見てこの本の存在を知り(ちなみに作者は東浩紀氏の細君)、読んでみようかと思った。ライトノベル風に読みやすかった。
オレンジの陽の向こうに

オレンジの陽の向こうに

  • 作者: ほしお さなえ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2011/03/24
  • メディア: 単行本


 同じマンションに同居している男女が、ある日(同時刻に同じ室内にいるのに)互いに接触できなくなる、互いの存在が見えず聞こえない状況になるところから始まる。これはなかなか面白い設定だ。その後の展開もスムースに進んで壮大な話になってくる。これはSFと言っていいのだろうか?いや、やはりファンタジーと言う方がいい。しかも大風呂敷が広がった「セカイ系」っぽい。「キミとボク」の要素は大きい。が、別に〈世界を救う〉話ではなく、終わり方は「小さくまとまっている」ので、むしろ読後感はよく、「爽やか」とすら言っていい。
 設定のアイディア、世界構築は面白い。こういうユニークな異界というか「死後の世界」の存在形態を創案する発想力には一目を置ける。文章もこなれている。ただセリフ回しがちょっとノリ過ぎというかご都合的に展開するのがいまいちの感はある。人間関係の意外な結びつきについても。読んでて抵抗は感じないのだけれど、その抵抗の無さにかえって抵抗がある、とでも言えばいいだろうか?…などというのは随分天邪鬼なんだろうな。
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