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「二人静」(盛田 隆二) [小説]

 あの「俺俺」と同様、Twitter文学賞で選ばれて、なんと第1位(27票)の栄冠に輝いた作品である。当然読もうと図書館に予約してあったのだが、意外に早く回って来た。
二人静

二人静

  • 作者: 盛田 隆二
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/09/17
  • メディア: 単行本


 あの文学賞のUst中継中に採ったメモは、
>老父の介護、恋のトラウマ男、DV離婚女の介護士、緘黙症、リアリズム恋愛小説
というものだったが、まさにこれらで殆ど全てを言い尽くしている感がある。
 やや冗漫に感じられるほど長ったらしかった。読み易くはあるんだが、平々凡々な日常が綴られていてちょっと退屈。それだけ〈リアル〉ではあるのだが、面白味には欠ける。
 中堅食品メーカーの商品企画部の32歳の男(学生時代に奔放な恋人につれなくして自殺されたトラウマを持つ)が、妻を失い急速に元気をなくした亭主関白だった父の介護のために奔走し、老人保健施設に入所させ、そこの介護士に恋をするが、その介護士は実は夫の暴力に耐えかねて離婚し、娘はその時のトラウマで緘黙症(人前で喋れない)になっており、父親のボケは進行し、元夫が現れてストーカー行為に及び…と、まぁなんというか絵に描いたような〈現代日本社会・家族の病い〉を背景に、「純愛」を描いている。
 タイトルの「二人静」というのは、「静」という名前の人物が二人出てくるのかと思ったら、そうではなくて、結局何のことやらわからなかった。最終場面の男女二人のやや覚めた心境(沈黙のうちの会話=心の触れ合い)のことなのだろうか?
 それにしても、これが第1位というのは納得できない。そんなすごい作品だろうか?
 「ご都合主義」ではない、むしろご都合が足らないくらいなのだが、あまりにリアルすぎて、「ありきたり」感が強く、読んでてノレなかった。恋愛小説としては深みが無い、と言うか「あるある」的ではあっても、感情移入させる力はなかった。
タグ:恋愛小説
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コメント 1

ask

うーん、なんかこの記事1日で100PV突破しちゃって、異様な(私にしては)読まれ度なんだけど、なぜなんだろう?
特定のリンク元から跳んで来てる様子もないし、検索ワードの上位にあるわけでもないし。
by ask (2011-05-02 11:39) 

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