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「ピストルズ」(阿部 和重) [ファンタジー/ホラー/ミステリ]

 「シンセミア」「グランドフィナーレ」の系列の作品なのだが、「シンセミア」は読んだものの、ほとんど内容を忘れてしまっており、趣向や文体が違っていることもあって、あまり関連を意識しないで読んだ。
ピストルズ

ピストルズ

  • 作者: 阿部 和重
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/03/24
  • メディア: 単行本

 大勢の有名な作家さんたちが絶賛してるらしいので、図書館で借りて読んだのだが、長かった。660ページもある。しかも冗長で、興が乗らず、分量も無駄に多い印象。それでも読み通したのは面白かったからと言うより、そのうち面白くなるだろうと期待してページを繰ったからである。
 最後の方は少しは面白かったが、さほどでもなく期待は裏切られたし、エンディングでは一切がどんでん返しならぬちゃぶ台返しで唖然とさせられてしまった。なんだこりゃ!こんな手法って許されるのか?「眩惑」させられるのを好む人も居るかも知れないが…。
 そもそも絵空事感が強い。ご都合主義的で、ムリめな展開が多い。ファンタジーの類だと思えば腹をたてることもないのだろうが、爽快感がないし、それはさらに結末のつけ方で、「今まで読んできたのはなんだったのか?」という疑念に変わる。ほとんど〈夢オチ〉ではないか!プロの作家がやっていいことではないだろう。
 自分としては時間を浪費してしまった感が否めない。これを楽しめる人はあまり多くないと思う。勿論自分の読み方が向いていなかったという可能性は大いにあるのだが。
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コメント 5

syun

阿部和重の小説は一つの小説、一つの世界では閉じていません。壮大な神町サーガの一部です。
ただし通底するものは悪・暴力・クスリ・エログロロリという(笑)、フツーの作家や一般の人が忌避するものです。
フツーの作家が描かない、描くことのできない、引いては一般人が理解できない、覗くことのできないセカイを見せてくれる作家というのは貴重な存在だと思うのですが・・・どうでしょう・・・
by syun (2011-01-09 16:31) 

ask

syunさん、いらっしゃい、はじめまして。
コメントありがとうございます。

>通底するものは悪・暴力・クスリ・エログロロリ
>フツーの作家が描かない、描くことのできない、引いては一般人が理解できない、覗くことのできないセカイ

そうかなぁ? いわゆる「純文学」に限ればそうかも知れませんが、普通にフィクションの世界ではありふれている、珍しくもないと思いますが…。
by ask (2011-01-10 11:04) 

syun

そうなんだ・・・
「ピストルズ」読んでないから分かんないんだけど「シンセミア」的なノリじゃないんですか?
あと(直木賞的な)フィクションのセカイでも、最近の小説って最後の最後で勧善懲悪に堕すっていうか、人間の「どうしようもない感」とか誰もが持ってる秘めた「悪意・殺意」みたいなものが、社会の「善意・美徳」の内にキレイに収まっちゃう、収められちゃう作品って多くないですか?誰とは言わないけど・・・東野圭吾!とか吉田修一!とか宮部みゆき!とか重松清!とか、ヤベッ、全部言っちゃった!!www
そういう意味で、阿部和重とか桐野夏生みたいな一貫した悪意、そして逃走・メタ崩壊!!(笑)っていう流れを見せてくれる作家って貴重かなって思うんですけど・・・。
askさん、そのへんどう思います??

by syun (2011-01-12 16:23) 

ask

syunさん、この作品はまだ読んでなかったんですか?てっきり読んでたのかとw

>「シンセミア」的なノリじゃないんですか?
舞台は同じでもかなり違いますね。よりラノベ的とでも言うか。なんせ「異能バトル」ものですからね。それにしては無駄に厚いんです。

>「悪意・殺意」みたいなものが、社会の「善意・美徳」の内にキレイに収まっちゃう、
いわゆる人間賛歌みたいなパターンは仰るとおりかも。あまり読んでいないんですが。

>一貫した悪意、そして逃走・メタ崩壊!!
古川日出男なんかその系列でしょうかね。オススメです。

by ask (2011-01-13 16:53) 

syun

askさん、どうもありがとう!!
「ベルカ」読んでみるね
by syun (2011-01-14 17:34) 

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