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「インセプション」 [映画]

 大ヒットしていて、Twitter上でもとても評判がいい映画なので、前売りを買っておき、昨日見に行った(丸の内ピカデリー)。夏休み中の平日にしては、そしてヒット作品にしてはさほど混んでいなかった。
 ややこしい理屈っぽい映画だけれど、面白かった。


※以下、ネタバレありまくりなので、未見の人はスキップよろしく。










 設定は、他人の夢のなかに入り込んで企業秘密を盗み出すという、超ハイテクな産業スパイ技術がベースにあるのだが(この技術に関するテクニカルな説明がないのがちと不満、ヘッドギアみたいなものさえ使わないんだからねぇ…)、情報を盗むのでなく、大企業の後継者の御曹司の頭の中に入り込んで、都合のいい情報を植えつけて意図通りに行動させようという、なんとも神をも恐れぬ企てだ。〈洗脳〉の方法としてはなかなか新しいアイディアかも知れないが、どっかで読んだような気もしないでもない。〈ミーム〉概念をもっと語ってもいいのではないか?
 まぁ、こういうぶっ飛んだ設定なので、ご都合主義的なところなど、突っ込みどころがありすぎるのだが、映像の迫力が引き込む力は大変なもので、CGも含めた特殊効果は素晴らしい。つまり、いちいち矛盾点や無理めな部分をあげつらっても無粋でしょ?その世界に浸ればいいじゃん、となるわけだ。それにしては意味の取りにくいところが多くて、難儀したのが正直なところ。各階層のシチュエーションがどうしてそうなるのか理解できなかったりとか。

 面白かったところ。
 1.夢の階層構造と時間速度の変移
  これが一番のアイディアじゃなかろうか。自分自身は〈夢の中でさらに見る夢〉というのは経験ないのだが、実際にあり得るのだろうか?「わっと思って気がついたらそれは夢だったが、目覚めたわけでなくまだ夢の中だった」というのはありそうだが、それは時間軸上にシーケンシャルに並んだ展開に過ぎないだけという気もする。この映画での夢の階層構造は上位の状態が下位に影響し、上位でクルマが落下中になると、その無重量状態が下位に反映する。これは例えば寝ている姿勢や音環境などが夢の内容に影響を与えることがあることから頷ける話である。
  また、時間経過速度の違いも、「邯鄲(一炊の夢)」の話にもあるように、確かに短時間に長い夢をみることは実際にもあるようだ。脳内処理速度がそんなに加速するとは思えないので多分に錯覚っぽいし、おそらく目覚めた後の記憶がそのように解釈されているだけなのではないか?

 2.トーテムというアイテムを使った夢か現実かの判別法
  これも面白いアイディアなんだけど、その現実界判定機能はなぜ担保されるのかがわからない。というか、こんなもので〈夢であることがバレてしまう夢〉というのはいわば〈明晰夢〉なわけで。ま、この話は、最初から全て明晰夢の世界で展開しているとも言えるわけだが。
 ちなみに、ラストシーンでのコマの動き。町山智浩氏は「いつまでも回っていて、あれれ、ここもまた夢の中なのか?という混乱を観客に与える」とか言ってたが、私の目には明らかに減衰しているように見えた。パタリと倒れるまで映さなかったのは、まぁ余韻を残しただけだと思ったのだが、そういう「夢の入れ子の無限構造」を示唆しているという見方も出来なくはないんだろう。その方が「深い読み」なんだろうけど、私は一応明確な現実界(子供との再会)への復帰というハッピーエンドと見た。

 3.チームワークによる夢の展開操作
  これも夢の操作という点で新しい。役割分担なわけだが、しかし、それぞれの役割がどのように技術的に実現されているのかが説明されておらず、いまいちわかりにくかった。そもそも展開の操作という点では、〈夢〉なんだから、もっと自由に超能力とか使えてよさそうなもんじゃないか?というのも疑問といえば疑問。敵との戦いもまるで現実であるかのように物理法則に支配されてるし、敵とは相手の脳にプリセットされた防護措置によるものらしいので、一方的に支配は出来ないということか? そもそも土俵は相手の夢の中なんだっけか?

 4.夢で死んだ場合の現実復帰の方法
  夢のなかで死ぬと、虚無に呑み込まれて現実界で覚醒できなくなる。それを防ぐにはより下位に降りて…、なんだっけ?忘れてしまった。面白い手法だと思ったんだが。
  
 5.妻を失ったトラウマとその克服
  妻は現実を夢と勘違いして、自殺したのだが、〈夢で死ぬと虚無に呑まれる〉法則は知らなかったのか? 深い階層で50年間を二人きりで過ごしたというが、そんな長期間を経てもなお愛が冷めないというのは…浮世離れしすぎてないか? そもそも夫婦で一緒に仕事してたんだろうか? いろいろよくわからんことが多い。わかる方、コメントで教えてくださいませんか。
タグ:CG
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