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「魍魎の匣」(京極 夏彦) [ファンタジー/ホラー/ミステリ]

京極夏彦の作品を読むのは、なんと初めて。今更の感は深いが、前から気になっていたこの作品をようやく図書館で借りて読んだ。「百鬼夜行」シリーズの最高傑作とか聞いていたので、読むならこれ、と決めていたが、なかなかゲット出来なかった。
魍魎の匣 (講談社ノベルス)

魍魎の匣 (講談社ノベルス)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/01/05
  • メディア: 新書
 いやそれにしても~分厚かった。2段組で680ページ!時間がかかった。本来なら一気読みすべきなのだが、時間の合間を見つけては読み進めたので、1週間以上かかってしまった。(それにしても遅読である)リーダビリティは高いので、苦痛ではなかったのだけれど。
 ストーリー紹介を書く気力はない。と言うか、最近長文を書く能力が減退している(Twitterのせいに違いない)。140字で梗概を書くのは不可能だし…。
 ま、連続猟奇殺人事件である。それを安楽椅子探偵が解決する訳だが、そもそも、この安楽椅子探偵というものはミステリの中でもメジャーな存在ではあるが、私は以前から不自然さ・ご都合主義を感じていた。まぁそれを言ったら全てのミステリがそうなんだけれど、いくら洞察力があるってったって、そこまで分かるか?!神かお前は!みたいな…。と言っても要は、いかにもっともらしく書けるかというのがこの分野の肝なわけで、その点ではこの作品はそれほど破綻してはいない(のかなぁ…?)
 中禅寺秋彦(京極堂)というやたらと神仏妖怪陰陽道に詳しい探偵が衒学的な言辞を駆使して、アドリブで人を煙に巻きつつ、錯綜した難事件を整然と分析するその手腕たるや、イヤハヤ南友である。開いた口がふさがらない。見事といえば見事だ。虚実ないまぜで、どこまでが本当なのか皆目わからない。幻惑される快感を味わわされる。
 この中心人物以外の各登場人物のキャラもよく立っている。
 それにしても作風が古風だ。江戸川乱歩(って殆ど読んでないのだが)の影響が強いのだろう。時代も昭和27年という昔の設定で、社会的な要素描写は単純化してある印象。この作家は「社会派」ではないので、せいぜいこれくらいまでが舞台としては限界なのかな?と思った。
 最後の方では人工臓器などマッドサイエンティストが出てきてSF的展開になる。それってどこの鉄人28号? 大団円はいかにもB級ドラマみたい、という感じで若干鼻白んだ。それにしても、この時代に「遺伝子工学」はないだろう、とバグを指摘しておきたい。
 まぁまぁ楽しめたのでよしとするが、もうお腹いっぱい、という感じなので、この作家のはしばらく読まないだろう。
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