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「地球移動作戦」(山本 弘) [SF]

タイトルはずいぶんと古風であるが、それもその筈、東宝の特撮映画「妖星ゴラス」へのオマージュである。(この映画、存在は知っていたが、未見)

地球移動作戦 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

地球移動作戦 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

  • 作者: 山本 弘
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/09
  • メディア: 単行本
「SFが読みたい!2010年版」では6位。他のランキングではもっと上位だったかな? とにかく大変な力作、ストレート豪速球ど真ん中のハードSFだ。

 未知の大質量の天体が太陽系外縁で発見されるところから始まり、地球すれすれに通過することがわかる。このままでは潮汐力により地球は壊滅的な被害を受け、人類滅亡は必至。そこで、地球を安全圏まで移動させようという空前の作戦が始まる…。
 しかし、肝心の地球を移動させるピアノドライブ(タキオン推進)によるメカニズム、いまいちよく分からなかった。まぁSF考証を真剣に考える必要はないのだろうが。
 それにしても、こんなところでギャラクシー・トリッパー美葉に再会するとは意表をつかれた。主人公・風祭魅波の電子ペットが、あの意識を持った巡航ミサイル・ルー君なのである。これにはのけぞってしまった。ここでこれを持ってくるか!あっちのは超光速航法で「ステルス航法」とか「信念航法」とか、馬鹿アイディア満載のハチャハチャSFだったのに。
 と学会代表っぽさが出ているのは、「そんな星は実在しない」という陰謀論派と、「これこそ神の意思だから人類は甘んじて滅びるべし」というカルト宗教派が、正反対なのに目的は一致して協力して妨害工作をするというところか。(しかし、実在が明白になってなお、前者の技術力を使って後者がテロを起こすのは、ちょっと納得がいかない)

 ハードSFとして、綿密な理論構築とディテールにこだわって展開するとは言え、一方で山本弘流の人間賛歌節は貫徹されていて、読後感はすがすがしい。お薦め。
タグ:山本弘 地球
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