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《ラーメン道》に関する考察 [身辺雑記]

 私がよく昼食を食べに行くラーメン屋はいわゆる〈行列の出来る〉店で、最近評判が上がり、「王様のブランチ」にも紹介されたほどの美味しいラーメン屋である。昼休みを丸々潰してでも並んで待つ価値があるほどなのだ。こういう店が職場の近くにあるのは幸運だと思う。
 それはいいのだが、最近臨時休業や早じまいなどのトラブルが頻発し、どうしたのかな?と思っていたら、そこのご主人が書いているブログに、顛末記が載った。
「従業員に、接客サービスの上で、あるまじきふるまいがあったため。こんなではお代をいただくわけにはまいりません」と言うのである。詳細は分からないが、忙しさにかまけて客へのお礼の言葉をかけ忘れたか、ぞんざいな振る舞いがあったか、程度の些事のようだ。それを過大に思い悩んでのことらしく、一時廃業すら考えた、とも。
 この店主、ラーメン屋を始めた動機は、「客に良いサービスを供する仕事をしたかった、ラーメンはそのための一手段に過ぎない」と言う。そのストイックにサービス業の王道を行こうとする凛然たる姿勢に非常に感じ入った。

 勿論、最大のサービスは美味しいものを供することであろうからして、日々研鑽怠りなく、常に工夫を重ね、試行錯誤しながら、開業から1年以上かけて現在の(取り敢えずの)完成形の調理法に到達したようだ。ゆえに味も非常にユニークなもので、だからこそ行列も出来ているわけだが、一方の接客態度の良さも大きな理由であると思える。

 この店主に限らず、以前テレビの「ラーメン店百傑」みたいな番組で見た評判の良いラーメン屋の店主は、職人の域を超えてまるで修行僧と見まがうばかりの、全身全霊をこの仕事に捧げ尽くしたかのような精進ぶりであって、驚嘆したことがあった。そこには一種「求道的」な生き方、つまり「ラーメン道」とでも呼ぶべきものがあるとさえ思わせたのである。
 ただ、そういう人の店でも評判になって客が増えると、慢心してしまうのか味が落ちる、ということが往々にしてあるようなのだが、この店に限ってはそんなことはないだろう。

 《ラーメン道》というものがあるとすれば、それは単純な〈料理〉そのものとしての美味追究だけにとどまらず、店の清潔さや接客サービスなど全てを包含した総合的な、客に対する謙虚で温かな「おもてなし」の心の具現にこそあるのではなかろうか。

ここで一句。  「美味いほど頭を垂れるラーメン屋」  


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