「美術館の舞台裏: 魅せる展覧会を作るには」(高橋 明也) [アート]
この本はNHKの「ひるまえ ほっと」という(首都圏ローカル放送?)番組の中の中江有里のブックレビューという月一回放映されているコーナーで知った。「年に300冊読む人」なら毎週やって欲しいものだが、読んだからといってお薦めできる本の数はそれほど高率には存在しないのかもしれない。
ともあれ、その紹介ではこの本はとても面白そうだったし、美術館へは「よく行く」というほどではなくても、普通の人の平均よりは多いのではないかと思っている私にとってはとても興味をそそられる本だったので、読んでみた。
オルセー美術館開館準備室で働き、その後国立西洋美術館で学芸員を勤め、三菱一号館美術館初代館長となったという、そうそうたる経歴を持つこの著者にして初めて書けた、最前線の現場からの報告だ。
美術館、特に展覧会の舞台裏というのは、普段よく出かけてはいても直接には接することのない世界なので興味深くもあり面白かった。とは言っても、おおよそは想像通りの、現場を取り仕切るプロならではの苦労というものの実態が語られており、正直驚きというのは無かった。勿論つまらなかったという意味ではない。
語り口はフランクでまた読みやすく、著者の情熱と誠意と真摯さとがよく伝わってくる、気持ちのよい文章だ。美術史と美術館の歴史、西洋のアドバンテージ、学芸員の仕事の多様なこととその苦労、有名な成功した展覧会の実績の数々、などなど克明に書かれていて、よく理解できた。こういうテーマで書くには最適任の人物と見えた。
が、新書であることの制約なのか、図版が皆無で、全てテキストのみで説明されており、知らない画家やその作品名、いろんな場所で開かれた展覧会の話が沢山出てくるので、いまいち隔靴掻痒の感があった。こういう話はぜひ豊富な図版付きで読んでみたいものだと思った。語りが親切なだけに、もったいない、と。
ともあれ、その紹介ではこの本はとても面白そうだったし、美術館へは「よく行く」というほどではなくても、普通の人の平均よりは多いのではないかと思っている私にとってはとても興味をそそられる本だったので、読んでみた。
オルセー美術館開館準備室で働き、その後国立西洋美術館で学芸員を勤め、三菱一号館美術館初代館長となったという、そうそうたる経歴を持つこの著者にして初めて書けた、最前線の現場からの報告だ。
美術館、特に展覧会の舞台裏というのは、普段よく出かけてはいても直接には接することのない世界なので興味深くもあり面白かった。とは言っても、おおよそは想像通りの、現場を取り仕切るプロならではの苦労というものの実態が語られており、正直驚きというのは無かった。勿論つまらなかったという意味ではない。
語り口はフランクでまた読みやすく、著者の情熱と誠意と真摯さとがよく伝わってくる、気持ちのよい文章だ。美術史と美術館の歴史、西洋のアドバンテージ、学芸員の仕事の多様なこととその苦労、有名な成功した展覧会の実績の数々、などなど克明に書かれていて、よく理解できた。こういうテーマで書くには最適任の人物と見えた。
が、新書であることの制約なのか、図版が皆無で、全てテキストのみで説明されており、知らない画家やその作品名、いろんな場所で開かれた展覧会の話が沢山出てくるので、いまいち隔靴掻痒の感があった。こういう話はぜひ豊富な図版付きで読んでみたいものだと思った。語りが親切なだけに、もったいない、と。
タグ:ミュージアム
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