「鳩の撃退法」(佐藤 正午) [小説]
2015年の第6回山田風太郎賞受賞作。上下2巻900頁超の大作。
佐藤正午の小説では、随分昔に「Y」(タイムスリップテーマで時間軸の分岐点を表す)を読んだことがあるが、内容は殆ど憶えていない。
厚さの割にはリーダビリティが高く、(遅読の私としては随分と)早く、1週間ほどで読み終えた。
ストーリーは込み入っており、やたらと時間が行きつ戻りつするので、ここで要約する余裕はない。
主人公は一方でこの小説を執筆中の作家でもあり、しょっちゅう現実に戻ってきて、事実(と言ってもより大きな外からの視点では虚構なのだが)と虚構の混交するこの小説の書き方に悩み呻吟するという、ヘンなメタフィクションでもある。〈小説の書き方についての小説〉とも言えるかもしれない。その点では筒井のメタフィクションよりも、作家としての職業生活によりズッポリと浸かっている感がする。
ミステリ要素が強く、フィクション部分の展開や人間関係の複雑さ、時間の行ったり来たりのややこしさ、殺人事件や偽札事件の進行、人との掛け合いの珍妙さ、男女間の関係の機微、犯罪組織の裏側の丁々発止、金銭での困難と執着心、様々な要素が絡み合って進むストーリー展開には目眩がしそうで、目が離せなくなる面白さがあった。
佐藤正午の小説では、随分昔に「Y」(タイムスリップテーマで時間軸の分岐点を表す)を読んだことがあるが、内容は殆ど憶えていない。
厚さの割にはリーダビリティが高く、(遅読の私としては随分と)早く、1週間ほどで読み終えた。
ストーリーは込み入っており、やたらと時間が行きつ戻りつするので、ここで要約する余裕はない。
主人公は一方でこの小説を執筆中の作家でもあり、しょっちゅう現実に戻ってきて、事実(と言ってもより大きな外からの視点では虚構なのだが)と虚構の混交するこの小説の書き方に悩み呻吟するという、ヘンなメタフィクションでもある。〈小説の書き方についての小説〉とも言えるかもしれない。その点では筒井のメタフィクションよりも、作家としての職業生活によりズッポリと浸かっている感がする。
ミステリ要素が強く、フィクション部分の展開や人間関係の複雑さ、時間の行ったり来たりのややこしさ、殺人事件や偽札事件の進行、人との掛け合いの珍妙さ、男女間の関係の機微、犯罪組織の裏側の丁々発止、金銭での困難と執着心、様々な要素が絡み合って進むストーリー展開には目眩がしそうで、目が離せなくなる面白さがあった。
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