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「キラキラネームの大研究」(伊東 ひとみ) [言葉]

 キラキラネーム、またはDQNネームの隆盛についてはもう10年以上前から(発生したのは1995年くらいかららしいが)気にはなっていた。取り沙汰される実例の名前が、あまりにもトンデモないものばかりで、「お前、正気か?!」と名付け親に向かって叫びたくなるほどのものだった。つまりはセンセーショナルな絵に描いたような反応を私も(誰かの狙いどおりに?)していたわけだ。

キラキラネームの大研究 (新潮新書)

キラキラネームの大研究 (新潮新書)

  • 作者: 伊東 ひとみ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/05/16
  • メディア: 新書


 この新書の著者も同じようなものだったらしいが、いざ探求の道に入ったところ、日本語と漢字との相克の巨大な歴史の森の中にどんどん分け入り、そのあまりの深さに迷いそうになりつつも、日本人の名付け行動の展開変遷をたどることになる、その過程が詳しく描かれていて読み応えがある。

 あえて読みにくい名前にすることは古来多くあったことが示される。それ自体非常に興味深い学問的事実(漢籍への教養が前提にあったこととか)なのだが、近代に至って、戦後の漢字政策の拙速な施行で漢字の表記に混乱が生じたことが禍根となり、またIT化による安易、カジュアルな漢字入力が普及したこと等により、団塊ジュニア世代に至って漢字のイメージやフィーリング重視=「感字」化が進んだこと。それにより過去の難読名とはまるで次元の違う《漢字文化の破壊》が進行している、と警鐘を鳴らす。
 途中までの経緯(キラキラネームにも歴史的必然性があるような文脈になりそうな)とは一転しているのが驚きだった。

 著者の危機感はわかったけれど、この趨勢は容易には止められないのではないか?という印象が強くした。

タグ:日本語 漢字
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